第1回 長岡リリックホール
公共事業、なんだかイメージがあまり良くない単語ですな。「国民の血税を、景気対策の名目で役に立たない文化施設のために使われる。」とか思われがちです。
一方、専門家の間で話題を呼び、そして建築雑誌で大きく取り上げられるのもまた、この公共事業であることが多いのです。コンペが行われる段階から竣工まで、経過が逐次報告され、そのたびに大きな話題を呼ぶようなものは、多くは公共事業と呼ばれるようなビッグプロジェクトであるわけです。
ただ、問題は、竣工→開場の時点までは大きく取り上げられる割に、数年後になると忘れられていくことが多いのです。果たして、新築の段階で下した評価がすべてといえるのでしょうか。
この「反省けんちく」では、近年話題になった公共建築のその後の姿を、現地取材と関係者へのインタビューによって浮き彫りにします。
長岡リリックホール
所在地:新潟県長岡市寺島町315
建築主:財団法人 長岡市芸術文化振興財団
建築設計:伊東豊雄建築設計事務所
建築面積:
竣工:
内部空間。右が入り口。左手がホール。明快な構成。
 
 
 
桂(以下K):新潟は平坦で景色の広がる気持ちの良いところですね。
み江(以下M):ええ、田田田家田田といったところです。
K:このリリックホールがある場所もずいぶん広ーい敷地ですね。
M:ええ、しかし新潟といえどもこの敷地は特別です。なにしろあの田中角栄さんの持っていた土地だそうですからね。
K:おお、それは納得の広さ。
M:平野にぺったりと這いつくばっていますよ。銀色のイグアナのようです。
K:しかしなかなか渋い建物ですよね。風景にうまくとけ込んでいて違和感がありません。よくみるとアバンギャルドなイグアナなんだけど。
M:ええ、すごく玄人好みのする建物ですね。俊足巧打の二番バッタータイプ。
K:なるほど、正しくチームバッティングのできる抜け目のない選手といったところですね。
M:内部もスッキリシンプルですよ。ホールを二つ並べて、その周りをロビーにしています。ここで迷子になったらアホです。
K:クライン・ダイサムがデザインしたカラフルな椅子が並んでますね。カワイイ・・・けど汚れてるな。
M:なんだか小姑みたいなつっこみですね。
K:いや、だってこの建物あんまりつっこみどころがないですよ。規模といい見た目といい、すべてにおいて適度。優等生だもの。
M:そうですね。ただ問題は、ここが積雪2メートルの雪国ということです。ぺろんとした金属製の屋根に全面ガラス張りですからね。ちょっと薄着なんじゃないかな?
K:これは重要ですね。寒さに弱いイグアナ君が耐えられるのかな。
M:そうです。そこにポイントを絞って見ていきましょう。
(つづきはこんどね)