GA JAPANかんそう
42号 [2000年1月2月]
桂(以下K) 今月号は、なにが気になりますか?
み江(以下M) 『牧野富太郎記念館』かな。あのオジイサン(牧野富太郎)好きだから。ていうか建物より展示が見たいんだけど。
K お、この業界とは思えない発言ですね。じゃあそこから行きましょうか。
もくじ
内藤廣 『牧野富太郎記念館』
伊東豊雄 『大社文化プレイス』
竹中工務店 『ティーズ原宿』
ジャン・ヌヴェル『電通新社屋』
〔建築1999/2000〕総括と展望
埼玉県立大学:オレには未来が見えるぜ
野津原町庁舎:だれか翻訳してください
『開く/閉じる』:ジャーナリズムって何
磯崎 新:卒業設計最優秀賞!
妹島和代:あたしは巫女じゃない
磯崎新 『COSI(コーサイ)』
磯崎新 『国家大劇院』
村上徹 『酒井医院』
内藤廣 『牧野富太郎記念館』
M まるくて、穴があいてて、木でできてる。
K そう。それがすべて。
M イグアナみたいだな。しかも二つあるよ。
K やっぱり「有機的」につながってたりるのかしらね。
M うは!むっちゃ「有機的」や!もう一直線(笑)。
植物園らしくもっと細かいのがバラバラ建ってるのかと思ってたなあ。イグアナが2つあるなんてのは想像してませんでした。K そういうのを始めはやろうとしてたみたいだよ。ただ、雨の多いところだから「単純なシェルターの方が望ましい」という結論になったって書いてある。
M 単に苦手なのかもよ?(笑)
K 内藤さん男子だからね!屋根ボーン!軸組バーン!ていうのやってナンボだよ。
(内藤)外周を低く押さえたRCの壁で固め、そこから大断面集成材を使った架構が中庭を囲うように伸びていく、という方法を採った。このため、この建物の隠された中心である二つの中庭に面するファサードは、すべて開放することができた。
M えっ、ぜんぜん隠されてないじゃん!出てるよ。びろーんって。
K それもやっぱり内藤さんだから。あと注目すべきは、ここ。
数年後には、建物は樹木に囲まれ、山のなかに姿を消していく。周囲と一体になり、内部空間と中庭という構成だけが残ることになる。
M 今どきやねー。形を消すっていうのが。
K このへんが、「オレえらい」っていう。
M 中庭のうにょ〜んっていう線はどうやって決めたの?変な形だよ?
K 恣意的だね。
M ていうか、あんまりかわいくないな。うにょ〜んにすること自体は悪くないんだけど。
K まあ、インタビュー見ましょうか。と、思ったら1ページどーんと本人写真。ラテンまったりって感じのひとですね。
M 建築家ファッションの流派の一つとしての「ラテン系」ね。
内藤:学生時代、生意気でしたから、磯崎さんの批判をずっと書いたりしていたんです。
M つまり今でいうとこういうこと?「僕は学生時代生意気でしたからずっと隈さんの批判を書いていました。」
K でも磯崎さんにはかなわんと思って、一度外から日本を眺めようと、スペインのイゲーラスさんのところに行く、と。
M やっぱりラテンだ。このイゲーラスさんて、誰?オペラ歌手?
K 誰だろ。
M 「建築よりも趣味の音楽や絵のほうが一流」って書いてある。やっぱりオペラ歌手だ。
K ていうか原広司先生ちゃう?このキャラ。
M ああ、本業よりも趣味のほうが得意な方なのね。
二川:その後日本に帰ってきて、菊竹清訓さんの事務所に行きますよね。それはどうして?
……<中略>……
内藤:(吉坂隆正先生に)「君は、どこの事務所がいちばん自分に向いてないと思うかね」と聞かれるんです。……その時とっさに、「菊竹先生のところは、もしかしたらぼくには向いてないかもしれません」と言ったんです。そうしたらその場で受話器を取って、「菊竹君か、変な奴がいるんだけど、君のところで面倒見てくれないか」って話してる。それで次の日に会いに行って、入ることになりました。M 一番イヤなところにいかされるのか。おもしろいね。
K 吉阪先生ということは早稲田ですね。なるほど!
M ワセダって感じするする!
K 東大じゃないよね。こういう力技のデザインするヒトって。
内藤:吉阪さんが亡くなったんです。……それをきっかけにして独立することにしようと思いました。そろそろ辞めようかと思っていた時期でもあったのですが。
K 先生が死んだら菊竹事務所やめちゃうのか。よほどイヤだったのかねえ。年季が明けたというか。
M でも、なんで菊竹さんなのかなあ。ダサいじゃん。
K 昔はスターだったんでしょ、伊東豊雄さんみたいな。伊東さんだってそのうちボケるかもよ。
M ボケて五重の塔建てたり?するかあ?
二川:あなたの建物を見ていると、それらたくさんある流れに対して極端に背を向けているという感じがあるんだな。
M そうかあ?全然向けてないよね。向けてる人はほかにいっぱいいるよね。
K 向けてる人はGAJAPANに出られないよ。二川さんが言うには、内藤さんが屋根に異常なまで執着しているところが、今の流れと違うということらしいけど。
M え、建物の命は屋根じゃないの?小屋組じゃないの? (歴史系突っ込み)
K そうじゃないってことになってるから。ここ百年な。二川さんは「内藤さんは古い造形手法を使う」とも言ってるよ。
M 「古い」ってどういう「古い」さ。(歴史系突っ込み)
二川:あの手法でいくとデザインとして閉じてしまうんじゃないかという危惧があったんです。自分の中にどんどん入っていくというか収束していくような感じがしていたんです。
内藤:ぼく自身も感じてました。K この会話すごいよ。意味がわからない(笑)。
M 内藤さんはなんでわかるんだ?レーダーでしゃべってるのか?
二川:40代から50代で終わってしまう人はだいたいそういう感じなんだよね。しかも本人は気づいていない。
M ああ。わかった。形式化して固まっちゃうってこと?
K 「オレ流」が固まるってことね。
M でも「オレ流」とか「オレ様式」がないとメディアデビューできないじゃん。
K このインタビュー全体を読んで気になるのはね、今に至るまで内藤廣もいろいろあったようだけど、それが現在にどう結びついているのかわからないとこ。
構造に目覚めたのは渡辺邦夫に出会ってからみたいだし、スペインで構造表現主義に目覚めたわけじゃないのね。スペインに行ったけど何を見つけてきたのかわからない。菊竹さんの事務所に行ったけど何を見つけてきたのかわからない。M まあ、強い「オレ流」を持った人ってことはわかったな。あとはラテン系ってことが重要かな。
K それは本人写真見ればわかることで、インタビューとはあんまり関係ないよ。
伊東豊雄 『大社文化プレイス』
M へんな形だな。イグアナみたい。
K またイグアナじゃん。 流行ってんのかな。
M トレンドちゃいます?
K 設計演習で三回生あたりがやって、この図面を提出したとしても、「バッカじゃねえ、コイツ」と思われるね。
M うん。70点だね。
K まだわかってないねえ、若いねえ、というレベルの図面。まあ、伊東さんだから許されるんだけど。
M エラくなるのは重要やな。
K ところでこの建物、図書館がいいね。
M カーブした本棚。カウンターになってる閲覧スペース。気が利いてる。
K 良いね。まあ建物はさておきこの面白そうな「○と×」を読みましょう。ゲスト高松伸教授!
二川:高松さんに今回の○と×をお願いしたのは2つ理由があります。一つは、高松さんにとって錦帰の地である出雲に伊東さんが乗り込んでいったのは話の種になると踏んだからです。
もう一つは、最近の高松さんが設計された建築を端から見ていると、ガラスに代表される透明さに凝りだしてきたように感じたからです。K&M (爆笑)国民全員感じてま〜す。
K やっぱり高松さんの言葉を重点的に読んでいきたいね。
高松:図面で見る限り一筆書きのようなプランですよね。これは非常に魅力的な手法ですが、実に危ない手法でもあると思います。間違ってぼくなんかがやると、とんでもなく大仰な建築になってしまう。そのあたりをどのように解決して、あれだけ穏やかな建築が可能となったのか。
M それは解決して処理したんじゃなくて、デザイナーの資質の問題じゃないの?
K 伊東さんは「どうしたら大仰にならないか」なんて考えて設計してないよきっと。
高松:丁度、ぼくが現場にお伺いした時には、館内中が何か大規模な催しの準備で、至る所でまったく脈絡のない事件が同時に進行中といった感じでした。
M 事件!それきっと「イベント」って読むんだよ!そういうのに弱いよね建築家。(笑)
K 「必然」の反対だからか。なるほど。メモしとこう。「事件はイベントと読む」と。
それで、内部空間の分析に話が移るのだけどこれが結構わかりやすくけんちくを解説してるよ。高松:ヴォリュームやエレメントの所在がやたらとルーズで、空間が弛緩しているといってよい。全てがたまたま、そこにそのようにあって、一瞬後には全く異なる景観を見せるかのような時間的なルーズさが存在しているように思いました。
M あっまた「たまたま」って言ってるぞ!たまたま、偶然、イベンチュアル!
高松:(ぼくも伊東さんと同じプロフィリット・ガラスを大量に使っているけれども、)ぼくの場合は長大な壁面を一挙にその材料で覆い尽くしてしまっているのですが、同様の大壁面でも、この「大社」では、材料の使い方が全く違う。プロフィリットがしばらく連続し、全く異なる素材に突然変わる。
その素材の接ぎ木のような巧妙な処理によって、独特の緩みを作り出している。K これ、自分を貶めてから伊東さんの作品を褒めてるよ。
M 貶めてんのかなあ、ほんとに?「伊東さんはこうだけどオレはこうだぜ」というさりげない主張のようにも見えるが。
K ご自分でもいやだなあと思っているかもしれないよ、つい壁ボーン!ガラスバーン!をやってしまう癖。
M まあ、今どきの軽いユルいとは逆方向だもんねえ。
高松:基本的には『ザ・建築』風のデザインを選択しながらうまくその部分を緩めているのが印象的でした。
M (爆笑)『ザ・建築』!なんだそれ!
K 自分の作品のコトとしか思えない(笑)。
M 高松先生のコメントを読むだけで2人のデザインの違いがわかって面白いね。
K 同じモノを使っても全く違うものになる。
M 壁一面うめるヒトと、違う材料入れるヒト。『ザ・建築』になるかどうかの違い!
K 使える言葉をもらったね。『ザ・建築』(笑)
M 伸さんのこと見直したよ。それに比べて二川先生の解説(以下略)
竹中工務店 『ティーズ原宿』
K オーナーは東武百貨店だって。そういえば最近東武美術館閉館したよね。
M え、そうなの?セゾン美術館もなくなったし、池袋の文化はどうなっちゃうんだ?
K 全部カラオケとゲーセンになりま〜す。埼玉文化万歳!
M 池袋、埼玉の属国やな。
K 本当に埼玉の属国でしょう。だって埼玉県民以外の人間て、わざわざ池袋行かないよ。意味ないもん。
M 池袋は埼玉の玄関口ってこと?上野か!
K 建築の話しましょうよ。この建物池袋にあるわけじゃないんだ、一応言っておくと。特に行ってもどうってことなさそう。
M ソニプラとGAPだもんね、ようするに。
21世紀の東京を占う超高層プロジェクト
K お、われわれ注目の電通の汐留新社屋ですよ。ジャン・ヌヴェルの。まあ完成はまだ先だけどね。
M エレベーターがいっぱいだ。建物の半分がエレベーターだよ。
K 交通空間ですな。
M その交通空間とは意味が違うんじゃないの?
K いいんだよ建築家だから。ところで共同設計のジャーディって誰?
M あれじゃん、「ようするにディズニーランド」をつくるアメリカ人。
K ああ、キャナルシティ博多やった人か。こっちの『六本木六丁目プロジェクト』もジャーディだよ。でも、その中に槙さんのテレ朝が入ってるっていうのがアレだね。
M モダニズムの生んだディズニーランダゼーションは母体なんか簡単に呑み込むんだよ(笑)。
〔建築1999/2000〕総括と展望
M 今回の目玉ですねこれ。一番読みたかった。
K 小嶋一浩さんと、大西若人さん(朝日新聞記者)と、二川さん。
M 朝日新聞?
K たまに見るよ。建築の記事書いてる。ポスト松葉一清(?)。
この人の意見みてみようか。「ヴィーナスフォート」みたいな一般受けする建築と、GAに載ってる建築のギャップに言及してる。そういうところが気になるのが朝日新聞記者って感じやなあ。M でもそれ真理だよ。建築業界と一般の認識の間にギャップありすぎ。
埼玉県立大学:オレには未来が見えるぜ
K 山本理顕の『埼玉県立大学』がベストという論調。文句なしの99年の年度代表馬。
M それにしても小嶋さん何言ってるかわかんないね。↓
小嶋:小さいものを丁寧につくりこんでいくことは、エネルギーをかければ出来ますが、山本さんは、ああいうものを突き放してつくって、しかももっと先の方に投げているわけです。それはいろんなことを考えるきっかけになっていると思います。
K 二川さんもすごいことを言っていますよ。↓
二川:あのプロジェクトが雑誌に発表されたとき、開口一番「つまらない建物をつくるなあ」と言ったの。ぼくはプロジェクトの段階や現場を見ると、大体出来上がりが想像つくのですが、あれは完全に騙された。ここ20年ぐらいの間には、あれほど密度の高いものはないと思う。
K 「出来上がりが想像つく」ってホンマかいな。
M ……二川さん結構怪しいな。
K それから、ここ20年で最高、ってねえ。そりゃあ、いい作品だけど、ちょっと大げさすぎやしないか?
野津原町庁舎:だれか翻訳してください
小嶋:今度できた伊東豊雄さんの「大社文化プレイス」とも違うし「仙台メディアテーク」とも違う。そうした手法の違いの面白さと、一方で手を離すタイミングの美しさみたいなものを感じました。
大西:手を離すタイミングというのは、建築家の身振りみたいなものを入れるか入れないかということですかね。M ????? 二人とも何言ってるかわかんないっすよ?小嶋さんの話も難しいけど、それに対する大西記者の突っ込みが全然わかんねえ。
K そのあとの言説からすると、小嶋さんは、さっき大西さんが言ってたヴィーナスフォート系の「大衆性」と結びつけて考えてるみたい。材料もそのへんにある材料を使ってて、伊東さん本人のコンセプト「コンビニのような建築」をやっているっていう点を評価してるよ。
M ははあ。立派すぎずカジュアルに作ってるところがいい、ってことか。じゃあ何も「手を離すタイミング」とか「建築家の身振り」とかいう表現使わんでもいいのに。しかもそれって大西さんが言ってた「大衆性」とはまた意味が違うよ。
K あ〜あ。突っ込み所満載だ。二川さんはちょっと辛口でね、この建物に対しては「完成度が低い」って言ってる。↓
二川:ぼくはデザインで見るからあの建物は未消化だと見るね。
M 自分をデザイン主義者だと言っているのなあ。どうみても作家主義者じゃん?(笑)まあ言いたいことはわかるよ。「コンビニのような建築」をやるのはいいんだけど、デザインとしてダメってことですね。
K まあ・・。確かになあ(笑)。この建物かわいくないし、かっこよくもないし、オシャレじゃない。
M 伊東さんならもっとオシャレに出来るでしょ、ってことね。
『開く/閉じる』:ジャーナリズムって何
小嶋:ぼくが唯一気になったのは、大きな空間をなぜ閉じてつくったのかということです。
大西:近頃「開く」という言葉をよく使いますよね。僕も使ってきたのですが、「開く 」という言葉は結構くせ者ですよね。
小嶋:「開かれた建築」といういい方はすごく危ないと思います。でも今言ったのはもうちょっと素朴なことで、空調制御とかの意味です。M ていうか開くとか閉じるっていう言葉やめようよ! 空調設備のこと言うのになんでこんな抽象的な言葉使うんだ。二川さんは「はやり」って言って流してるけど、建築家の悪いクセだよ。コドモが真似するからヤメロ。
大西:「開く」にしろ「消す」にしろ、つくった人がどのレベルでその言葉を使っているかを押さえていないと危ないと思います。我々ジャーナリストが建築を説明する時、「言葉」の問題は大変大きい。
二川:小嶋さんはどちらかというと、閉じるのが好きなんじゃないの?M シャーッ!だーかーらー! 大西さんが「ジャーナリストは言葉に気をつけなくてはいけませんね」って言ってる端から「小嶋さんは『閉じる』のが好きなんじゃない」はないだろ二川さん!他人の話聞け!
K あーあ、これで小嶋さんがまた閉じる開くって話し始めて元に戻っちゃった。↓
小嶋:開いていればいいと思っているわけではありません。たまたま学校の仕事が続いていて、学校は日本ではすごく閉じているものだからなんとかしてこじ開けないと、建築以前の問題として上手くいかないと思っているんです。今の閉じた現状を認めてしまうと、提案のしようがなくなってしまう。「吉備」では物理的に地域の住人が中に入れることに意味があったし、小学校みたいなものは誰にとっても一番身近にあるわけです。また、一番制度や慣習に染まりやすい所でもあるので、物理的に環境を変えていくことで、はっきりと効果が現れる。だから「開く」という話になるんです。
K 意味不明。
M トートロジーだよ。
磯崎 新:卒業設計最優秀賞!
K 磯崎新の3作品。GAの年明けの号に3つまとめて出ていたんで、結構インパクト強かった。そうやって出してくるのはうまいっすね。さすが作家主義です。
小嶋:3つそれぞれが全く違いますよね。
M それぞれ違う人が図面引いてるんだから当然違う作品になる、という意味ですか?
K いや、違わないと思うよ。磯崎作品はコピー&ペーストで作られてるから世界中に似たようなモノが出回ってるし。 実際、3つのうちなら100年会館と静岡グランシップは似てるよ。
M ホントだ。3つ目の「秋吉台国際芸術家村」はちょっと違うっぽいね。
大西:磯崎さんの作品にリリカルな感じを受けることはそんなに多くないと思うのですが、「秋吉台国際芸術家村」は「北九州市立中央図書館」の内部に入った時以来と言っていいようなリリカルな感じがしました。誤解されそうな言い方をすると、ものすごく優秀な卒業設計みたいな感じがしたんです。
K なるほど、「秋吉台国際芸術家村」は磯崎新君(20歳)が取り組んだピュアな意欲作で、他の2つは世界のイソザキ(70歳)がやったおシゴトですな。経験も積んで、眉間にしわも寄ってるし、目の下のクマもはっきりと出てるし。
M じゃあ世界のイソザキとしてのいつものお仕事は、弁護士で言うところの離婚調停みたいなモノか。
K で敷地選ぶ所から始めてるのが卒業設計。たまにピュアなものを出してくるから強いんだね、このヒト。
M そもそも「芸術家村」というプログラムがまさに卒業設計(笑)。
99年不作説:あたしは普通の女の子、巫女なんかじゃないわ
K 二川さんヒートアップ!99年は不作。若いヤツが出てこないと言ってます。
二川:ぼくは若手の作品も掲載したいと思って一生懸命見に行っています。でも、そのほとんどに未来形がないんですよ。
大西:若い人には建築家という立派な仕組みがあるように見えるけれども、実は大したことないんじゃないかという認識など、冷めた感覚がある。それで逆に言うと、あまり強いものが打ち出せない。M 二川さんは「今どきの若いヤツは」。大西氏は「オレは若いヤツの味方だ!」。
でも二川さん若手を本っっっ気で発掘するつもりなら、持ち込み歓迎!とか、手塚賞とか赤塚賞とかストーリーキングとかつくればいいのに。K いや、妹島和世さんですよ。やっぱり。二川さんは妹島ショックから立ち直ってない。5年以上も。だから妹島さんを超えるようなものを出さないと見てもらえないですよ。
大西:妹島さんに引力があるということなんですか。
小嶋:強力な引力がありますよ。
大西:それはふと気がつくと妹島風になっているということですか?とてつもない引力があると?
小嶋:あるんじゃないでしょうか。M そうでーす。学生はみんな妹島さんでーす。ようするに説得力があるってことだよね、「とてつもない引力」とか言ってるけど。
K 妹島作品って時代性、地域性、それら踏まえた上でロジカルに作られてる。しかもデザインがいい。それって普通の「グッドデザイナー」じゃん。
M 二川先生、彼女を巫女だと言ってますよ。オヤジやなー。わからないモノは魔物扱いや。普通に扱ってやろうぜ。この方に限らずオヤジの妹島話はまことにつまらん。まあこの問題はまた別の機会に。
磯崎新 『COSI(コーサイ)』
K 磯崎さんの図面はだいぶ肌合いがちがうね。
M なーんか久しぶりに見た!こーいう図面。強そうなやつ(笑)。
K&M しんせーん!
K この建物よく見たらすごくデカいよ。全体に比べてホールがこんなに小さい。両側のビロ〜ンは何かな?
M 展示室だからデカくてもいいんじゃない?
K 磯崎さん、こんなバブルな仕事をしてたんですな。
(磯崎)アメリカの公共建築は全般的にがんじがらめのシステムで、大した提案はできません。そういう厳しい状況で何ができるかといったら、とにかく徹底してバカでかくしようというわけです。
M って、何でやねんアメリカ人!
K 大きいのが得意なはずのイソザキくんもアメリカにはビックリ!
磯崎新 『国家大劇院』
M すげー。何じゃこりゃ。このモコモコはなにかな?
K フラクタル?
M 適当なこというなよ!
K 屋根ですね。
M いや、そうなんだけどさ。
K これはヴァーチャル建築なんだし、寛容になろうよ。
それよりこのプロジェクトのいきさつが面白そう。国家的プロジェクトで国際コンペなんかやったから、都庁のときと同じで政治的にドロドロしてきた。イヤんなったからやめちゃったって言ってるよ。M イソザキさんには政治家のパトロンはいないのかな?
K 苦手なんじゃない、そういうの。丹下さんとかとは違って。
M 慎みを知っているから?恥じらいを知っているから?意外にシャイだから?
K (笑)勉強して賢くなってしまってるからできないんじゃない?
村上徹 『酒井医院』
M 何この穴、でけー!人間ひとり入れるじゃん!
K 違う違う。この建物小さいんだよ。大きいのばっかり見てきたからスケール感狂わされてるんだよ。でも本当に普通だねこれ。この何の変哲もない建物が載ったのもワケがあるはず。
M 〔クライアント登場〕があるからこれを読もう。施主のお医者さん、「お年寄りに昔からあった寄り合い場所みたいなものを提供したい」「24時間コンビニエンスストアー形態の診療を目指す」とおっしゃっています。立派なお医者さんだよ。
K この辺が今どき新しい「プログラム」なわけだね。
M もうちょっとコンビニっぽくてもいいんじゃない?
K いや十分コンビニっぽいと思うけど。