2000/03/27

GA JAPANかんそう

43号 [2000年3月4月]


今月のテーマは島根〜しまね!今島根がアツい!これから島根現代建築ツアアにいってきます!ぬふふーでも各大学のケンチク君たちいっぱい来てるだろうなやだなあスケッチとかしよるからなヤツらは。出雲はいつから神々ではなくけんちくが集まる場になったんだ(桂)

もくじ

小嶋一浩 『ビッグハート出雲』
新・現代建築を考える○と× 『ビッグハート出雲』 ゲスト鈴木了二
新連載 「歴史は現代建築に必要か」第1回 山岸常人
建築家登場 有馬裕之
有馬裕之 『limpid』
クライアント登場 有馬裕之『limpid』 自分自身が薔薇になれるステージ
FAX批評 ファンからのお便りのコーナー
坂 茂 『アイビーストラクチャー』
石田敏明 『カフェテラス フリーメン』
クライン ダイサム アーキテクツ 『V room』
黒川紀章+リチャード・ロジャーズ 『天野製薬・岐阜研究所』
長倉威彦 長倉計算空間研究所+国建建築設計部 『具志川ランセンター』
そのほか安忠やセジマカズヨや吉野川


小嶋一浩 『ビッグハート出雲』

この建物は公民館らしいっす。でもあんましうれしくないだろうな、近くにこれができても。遊べるもんが全然入ってないもんで。囲碁サロンや卓球センターなしでどうやって交流図れっちゅうねん!そういうもんだいか?いやそういうもんだいだ。


桂(以下K) 前回につづき巻頭カラーは出雲です! 先月は伊東豊雄さんの『大社文化プレイス』、良かったですよね! 2号連続でいま島根がアツい! でも何故!? そしてMr.SHIMANEこと島根御用達けんちく家高松伸さんの立場は!? もはや島根には作らないのか!?

み江(以下M) やけにテンション高いな今日は。島根にそんな思い入れでもあるのか。ま、高松伸さんのことはともかく、島根のけんちくラッシュはビンボな県ほど助成金で金持ちってことでしょ。もしかしたら細川護熙元首相みたいなヤツが知事なのかな? くまもとアートポリス状態?

K  東西に名を馳せるけんちく家による競演。けんちくの鉄人、テーマは『島根』。



けんちく暴走族・死威羅漢須

K 今回は元ゾクのヘッドという経験を生かし、けんちく暴走族・死威羅漢須を率いて業界に殴り込みをかけて早やン年、最近はソロ活動をメインにしている小嶋一浩さんの『ビッグハート出雲』です! 期待しましょう。

M ああ、あれってゾクだったの? けんちく家が徒党を組むというのはそういう意味だったのだね。シーラカンス以外にもアモルフとか建築少年とかいろいろあるけど、みんなゾク?

K だいたいそうでしょ。死威羅漢須の98年の改組も「まあオレもいつまでもこんなことやってられるわけじゃないしね」ってことでしょ。拳血駆少年も結成当時から解散期限決めてたし。大人になったらやめるのよ。 亜喪瑠不はちがうかな。ソロユニットなのかグループなのかよくわからないから。

M コーネリアスとかT.M.Revolutionみたいなものですね。

K でもゾクはさいきんは衰退気味。魅冠組くらいですね。若手でゾクやってるのは。

M で小嶋さんは「もうこんなことやっている歳じゃないぜ」と脱ゾクを果たしたんですね。でもそのわりには、この建物なつかしい薫りがするよ。こういうボコボコっとした立面は久しぶりに見た。これは5年ちょっと前ぐらいに学生の図面によく見かけたよ。

K これは絶対ゲーリーだよね、この四角い金属の壁は。デコンや! なっつかしい!

M 全部直角だけどゲーリー。でも安普請だなあ。ぺらぺらじゃん。

K だって公民館だよ、この建物。

M えっ公民館なのこれ? 聞き捨てならんなそれは。秋川かるた会の練習で公民館に通う子供時代を送った者として言わせてもらうけどね、まず公民館に必要不可欠なタタミルームがないね。囲碁をしたりとかお茶やったりとか、絶対必要なはずだ。子供は側転をしたり座布団を投げたりして遊ぶのだよ。

K お、文化サロンという空間がありますね。

M 囲碁をしたり昼寝をしたりするところだね。

K そんな雰囲気ではないけど。

M こんな背の高いテーブルと落ち着かないイスで囲碁なんかできませんね。ソファーとローテーブルを置いてよ。ダサい旅館のロビーみたいな空間じゃないとね。

K 旅館と公民館て似てるな。そういえば。どっちも卓球台がつきもんだし、囲碁セットやオセロも借りられるし。そういえば卓球できる場所もなさそうだな。私は子供のころ公民館に卓球をしに行ってたからね。卓球できない公民館なんてだめだよ。これ市民満足度ゼロだよ。

M 許せんなそんな公民館。絶対行かない。



新・現代建築を考える○と× 『ビッグハート出雲』
小嶋一浩・鈴木了二・二川幸夫

鈴木了二氏の毒舌すばらしいっす。いや、べつに悪態ついてるわけじゃないんだけど、よくよく読むとキツイこといってるという。



好評れんさい中“○と×”島根シリーズ。行け!調停せよユキオ!

二川:ぼくは、ホールのデザインでは、磯崎さんの「京都コンサートホール」が個人的にはすごくいいと思っているんです。白木でまとめて、やはり観客席の後ろにかなり広いスペースがある。それから以後では、今度のホールがなかなか巧くまとめ上げてると思いました。

M この意見100%反対。

K へっ? そんなにこのホールあかんの? 悪くないよ。けっこ工夫してるし。

M いや、京都コンサートホールがすごくいいってのに反対。最低だよあのホール。舞台がやたら遠いんだ。音につつまれるって感じじゃなくて、音が遠くで鳴ってるの。迫力もなにもあったものじゃないよ。

K お、それは聴衆サイドに立った意見ですねそれは。クラシックファンとしての。二川さんが普通の客の立場でコンサートホールを捉えてるわけないじゃん。デザイン主義者(笑)なんだから。

二川:小嶋さんのホールは実際に音楽を聴いたことはないけど、デザインとして気持ちのいいホールなんですね。

M うがー! だから音楽を聴く前にホールの評価をするなーっ! オレはそういうところが気に入らないんじゃー!

二川:ホールのつまらなさというのは、材料が違ったりするくらいでみんな同じ方程式で解いているということなんです。だからぼくらが写真を撮っていても、二枚撮ったら終わりなんですよ。「ザ・ホール」って感じで、舞台と客性撮っておしまいという。それとはこのホールは違いますね。

K お、「ザ・ホール」って言ってますね。高松さんの先月のこのコーナーでの名言「ザ・建築」を早くも応用しております。

M 前の号読まないと全然面白くない発言ですね。マンガ誌のようだ。“○と×”島根シリーズ好評連載中!

K 島根の覇王シンは倒れた。しかし時代は春秋戦国、その地をねらう都の強者たちが次々と城を建設し、地盤固めに動いた。行け! 戦いを調停せよユキオ!

M ピンチだユキオ! 早くも新しい敵キャラが!……ああ、話がそれた。ゲストの意見読もうぜ。それより。今回の○と×は鈴木了二さんがゲストっす。彼の発言は要チェキ。



細かくてしつこいチェック+あんまりな毒舌=鈴木了二はピーコ?

K この座談会はゲストの発言がポイントだからね。先月の高松さんを考えればわかるけど。

M 鈴木さんてすんげえモノ派の人だったよね。細かいところに命かけてる。

K もちろん超モノ派でしょ。佐木島プロジェクトあんなだし。ワセダ大学のセンセイだし。

M じゃあこの座談会のテーマは「モノ」で決まりだな。

鈴木:僕は、人の建物はあまり見ない方なので、小嶋さんは、人間的には前から知っていたけど作品を見たことなかったんです。だから彼の他の建物との比較はできませんが、まず最初に思ったのは、そっけないということ。それから良い意味でも悪い意味でもおもちゃみたいに見えた。

M きたきたきましたよ最初から。「人の建物はあんまし見ない」。他人の作品なんか興味ねえと。

K しかもその感想が「おもちゃみたいに見えた」。「おもちゃ」ってどう見てもほめ言葉ちゃうで。

M この良い意味でもというのは(良い意味でも)ってことだな。

鈴木:おもちゃ的って言ってる意味は、建築そのものを追うよりも、むしろそこに行かない状態で手渡したい、あるいは、自分はそこに行き着く前に抜けたいという積極的な意志が、小嶋さんにあるのかなという気がしたんですよ。

小嶋:モノとしてきっちりつくりこむことで建築が有りがたいものとか立派なものになる。実際、そういう意味で魅力的な建物はありますが、そうしたモノの魅力の方で建築の話をしてしまうというやり方に対して、それは今の建築にはあまり期待されてないんじゃないかと感じてたんですね。

M 小嶋さん脱モノ派宣言。オレはとっくにモノ派やめたんだからモノの話すんじゃねえよ。って釘刺してますね。

K でもモノの話に終始してるんだよな、この対談。

鈴木:この建物の構成とプロポーションに、コンクリート的な要素がちょっと入ってないですか? コンクリート造に、無理矢理といってはなんだけど、鉄骨をあてはめているような。ディティールの随所に、それが結構見えてツライなって思った。

鈴木:このホールは相当苦労したでしょう? ぼくは全部閉じたところしか知らないんだけど、中を暗くするとガラス面で反射して映りこんじゃうことは」ないですか。それに普通なら横の壁面はマットにしておかないと音の残響が大きくなっちゃうでしょ。小さいから問題なかったんでしょうが、大ホールだと音がライブになってしまいますよね。

鈴木:マウンドの曲面はなかなか魅力的なんですが、それとサッシュがマウンドの掘りこまれたエッジのところでぶつかってくる。サッシュは直線で追随しようとしているからズレが生じる。本当はもっとピタッと付きたい。そうすることであの曲面は魅力的に見えてくるはずなのにそこがブッ切れてしまう。普通ならもう一つディティールが欲しいし、無いなら無いなりに考えなくちゃいけないところが、ちょっと苦し紛れに見えちゃうんですよ。

K コンクリがどうだとか、サッシュがどうだとか、この上なく細かくてうっとうしいモノ的つっこみですね。小嶋さんイヤでイヤでたまらないぞきっと。

M 他の2人が別の話題に持っていこうとしても、モノの話題に戻しちゃうんだよね。鈴木さんまわりが言ってること全然聞いてないよね多分。自分のしゃべりたいことしゃべり続ける。面白いねこの人。このキャラはマツオカ(京大けんちく同級生)じゃないか? 内輪ネタで申し訳ないけど。

K ああわかるわかる。しつこくディテールに突っ込み続けるのね。そんで本人に向かって鋭い悪口をまわりくどく言うの。 ブツブツブツブツ・・・。

二川:鈴木さんはしつこいよね(笑)。
鈴木:そんなことないですよ。そっけないくらいです。

K しつこいけど素っ気ない! マジでマツオカや。

M マツオカ君みてますかあ?

鈴木:例えば今、J文学とかいって「いいものだけどほどほどね」というものが評価されている。そういうのは面白くないってかんじがするんです。建築界にも言えることで、J文学とは違う水準を目標にやる必要があると思うんです。ミースを考えると、彼が目標とする水準の高さ、あの気迫は圧倒的ですよね。そういうレベルでやってほしい。
 今回この建物を見に行ったとき時間があったので、伊東豊雄さんの「大社文化プレイス」を見に行ったんですよ。あれはおもちゃと反対で、ああこれは大人の建築だ、という感じがしました。

M うっわーすごい発言ですね。「いいものだけどほどほどね、小物が過剰に評価されてるよね、ミースぐらいのもの目指してほしいね」だそうです。小嶋さんに対しても二川さんに対してもすっげえ痛烈な皮肉。テルミーガツンだよちょっと古いけど。

K しかも大社文化プレイスはおもちゃの反対で大人のけんちくだっていってるよ。彼女の前で他のオンナほめまくるくらい無神経ですな。「トヨはオトナだよなあ。オマエもトヨのコト見習ったらどうなん?」。どうなんこの人? すごいコトいってると思うんですけど。普通許されないよなこの発言。

M 刃傷沙汰だぜ。

K  小嶋さんたぶん心の中は煮えくり返ってるねこの座談会で。



プログラムするとね、誰かと誰かがぶつかって!偶然!たまたま!‘イベント’が生まれるんだよ!ステキ!

M しかも小嶋さんモノに関心がないしね。「そんなことわかってるわよ! 私には私の取り柄ってものがあるのにどうして見てくれないの?」。……で、小嶋さんの取り柄って何だっけ?

K 小嶋さんプログラマー、じゃなかったプログラム派じゃん? ハラスクールだし。

M はあ、プログラムねえ。で、プログラムって何?

ファッキュー(FAQ)

よくある質問:プログラムって何ですか?
回答:行為中心主義のことです。

K プログラムが何を示すのかはよくわかんないけど、彼らのやり方って人間のアクティビティなんかを設計の軸にするんじゃなかったっけ。

M 人間のアクティビティ? 寝るとか、遊ぶとか、囲碁打つとかのことかな? そんなもん全然重視してないじゃんこの建物。

K いや、そういう身体的な居心地のよさじゃなくって、視覚的な面での面白さを重視しているんでしょ。別々の機能を持った空間のせめぎ合いとか。

M あっわかった、「玄関入ってお茶ルームに行こうとすると途中に別のグループが見える」とか「コンサート聴きに来た人が囲碁ルームの様子を何となく伺える」とかそういうやつのことだね!

K そうそう。けんちく家の大好きなアレだよ。

M アレか! 誰かと誰かがぶつかって!偶然!たまたま!「イベント」が生まれるんだね! 囲碁を打ってる人と音楽聞きに行ってる人はそもそも関係ないはずなのに、「たまたま」ここで出会うわけだ! うっひょー!

K そう! その通り! きっとそういうヒネリがこの建物には仕掛けてあるはずなんだよ。あいにく鈴木さんがしゃべらせてくれなかったけども、この建物の場合ホールとその外側のアトリウムの関係がそれだと思うけど。

M ああ、アトリウムとホールは空間はべつべつだけど、視覚的には一体化してるのね。よお〜くわかりました。さ、次いってみよう。



新連載 「歴史は現代建築に必要か」
第1回 山岸常人

M うおー、GA JAPANの表紙に山岸常人の名前が! 信じられん。GAにもっともそぐわない名前だと思うぞ。ananに磯崎新が書くぐらいミスマッチ。

K なんで? そんなに変かね。歴史屋さんだってGAに書いてるじゃん、伊藤ていじ先生とか。

M いや、この人は建築史家の中でも最もラジカルな論客のひとりなのだ。とにかく現代けんちくが大嫌いでその意義をまったく認めていないのだよ。

K 現代けんちく嫌いか。GAとしては敵の将を登場させているわけですな。

M たぶんこの記事読まない人が大半だろうからここで要約しておきます。3行で済みます。
1.現代けんちくなど要らん
2.トラディショナルよりも良いものを作れるものなら作ってみろ
3.けんちく家の言っていることはぜんぜん論理的ではない

K なるほどラジカルですね。これ「歴史は現代建築に必要か」っていうタイトルのコラムだけど、内容は「そもそも現代建築は不必要である」ということですね。

M けど、山岸さんの主張は極端だけど、建築史の人は多かれ少なかれ2と3ぐらいのことは思ってると思うよ。私もだけど。そんなことGA誌上で言っても誰も耳貸さないけどねー。でもまあGAに山岸常人が書いたってこと自体がわりと事件かな。

K それでこんな始めの方にあるのね。

M ほんとはいちばん始めに持ってきたい気まんまんだったけど、それだとチャンネル変えられそうだからなあ。やっぱ最初の3分でハダカを出しとかないといかんでしょ、湯けむりドラマは。で、ツカミは小嶋さん。


建築家登場 有馬裕之

M お顔はじめて見ますね。

K はじめて見るけどはじめて見た気がしない・・・とてもけんちく家っぽいですね。けんちく家平均顔ってところじゃないですか、これは。よくある『東大生の平均顔』とかと同じやつ。

M しかもけんちく家平均ファッション。もしかしてけんちく家のコスプレかな。で、経歴は鹿児島出身、京都工繊大、竹中。さあプロファイル。この人はどんな人?

K よくわからん。工繊→竹中でなんとなく想像つくところはあるけど、鹿児島ってところが難しい。他の2つとミスマッチでしょ。しいていえば顔が鹿児島かな。

M 顔かよ。

K やっぱこの中では竹中出身ってことが重要かな? 竹中入ったころは、ガラスの美しい摩天楼を作るっていう伝統があって、それになじんでいたけど、ポストモダニズム流行ってきたら、竹中でもデコンやるヤツが出てきて、それになじめなかったんだって。今の竹中では想像つかないことだけどね。

M デコンが嫌い、と。

K だから本人の作風は竹中そのまんま。そんで、竹中のエリート、コンペ部出身です。でも歳くってベテランになってくると大きいやつ担当させられるもんで、イヤになって出ちゃったと。

M わりとまともな人じゃない?

K 「大きいヤツはボクにはできません」て言い切ってしまうのはカッコイイかも。



“面接の達人”有馬氏による実践講座

ケースその1

年上で地位も実績もある方からインタビューを受けることになりました。この方に嫌われたらホされてしまうかもしれないので、とても慎重にあたらないといけません。どうすれば彼に気に入ってもらえるでしょうか?


ポイント1 謙虚な姿勢でわかりやすい話をするように心がけましょう。

有馬:日本という小さなくくりで言えば(地域性は)無視できると思います。気候などの差を除いてですが、生活文化がますます均質になるのは避けられない。暴力的に無視するのではなく、結果的に張り付けたような地域性しか残らないと思ってます。

有馬:ぼくにとって地域性はどこどこ風や和風というものではなくて、クライアントを通してしか現れないと思うのです。その人の家をつくれば、そこに地域性が現れると。目の前にあるヒューマンなものを通して都市を見て行く所までいかないと、ぼくにとっての地域性は見えてこない。日本の古典建築もずいぶん見て回ったので、そういう話をしてよく誤解されるのですが、ぼくは和風というのは嫌いなんです。壁の表現として聚楽をコピーして貼り付けるなんて、全く意味のないことです。

M やっぱまともな人じゃんこの人。それなりにまっとうなこといってる感じはする。

K そうかなあ。話巧すぎてうさんくさい。就職活動うまい学生みたく説得力ある話しぶりだけど、どうかな。地域性はクライアントから滲み出るからあえて意識しなくていいだってさ。都合良すぎないか? とても便利な考え方ですな。これを使えば地域のコンテクストからもうっとうしい歴史からも開放されて好き勝手なデザインができるってわけですね。

M まあこう言えば施主は完璧に納得しそうだしな。納得させちゃえばあとはこっちのもんだしな。

K そんで過去の作品の『MA』あたり見ると、そこまで考えてるかなあ? 構成主義好き学生がそのまま大人になって実作やっちゃった感じがするよ。あやしいなあ。


ポイント2 一般論ではなく、オリジナルの知見を盛り込みましょう。

有馬:最近は建築家より社会学の人や小説家の人たちとよく話をするのです。そうすると、建築がただシステムだけで終わっているとよく感じます。住宅も部屋という概念がすごく変わってきてるし、ぼく自身の事務所もオフィスビルに入らなくてもどこでも情報がとれて、図面でもなんでも書けるという状況が現実に起きています。なのに相変わらずオフィスビルの概念が壊せないし、集合住宅も新しい住まい方みたいなものが巧く行かない状況がある。そういうところでは、建築的なアプローチではなくて、文化人類学者とコネクションを持つとか違うチームの作り方があるのではないかとすごく思うんですね。だから建築家というのは建築をやる人のジャンルだと考えること自体、本当は大マイナスなのではないか。まだ、ぼくの力量不足だからか人が集まりませんけど、哲学でも何でもいいから、とにかく全く違う方向からのアプローチを作ってみたいですね。

K お、また新しいこと言い出した。ようするにけんちくオタクになるなっていってますね。それはその通りでござい。そんで社会学や小説家のおともだちって誰かな? 興味しんしん。

M いいじゃん文化人類学。みんなけんちく以外の学問ていったらなぜか哲学やりたがるけど、哲学ってけんちくにとってほんっと役に立たないってつくづく思うんですけど。


ポイント3 相手の好きなモノや尊敬する人物を話の中に織り込むのも効果的です。

有馬:そういうことを熱く思っていて、今度東大駒場前に着工するものがあるのです。頼んできた方は最初住宅といって依頼してきたのですが、よく聞いてみると、ホテルみたいに使いたいとか、友達がきたら泊まらせたい、オフィスにも、スタジオにもしたいというように、機能としては実に多様でした。それを受け入れるだけの器を考えると、柱はいらないし、外壁も取り替えられるようにしたいという空間像が出てきたのです。そうすると意外にイームズの住宅に行き着いたりするんですね。彼は家具のような概念で建築をつくっています。

K 残念ながらこれはとても建築学的なアプローチですね。あれほどほかの学問の重要性を言っときながらどうしたことでしょうか。可変型住居を考えて、イームズに行き着くのはべつに意外ではないやん。「意外にピグミー族の住居に行き着くんです。」くらい言えるように頑張って勉強して下さい。

M なんでまたイームズかね。ニッポントラディショナルだってすげえ家具的じゃん。

K たぶん西洋主義者の二川さんとしゃべってるからイームズにしたんじゃないかな。別の人と話す時は「意外に日本の伝統的住居に行き着くんです。」とか言いそう。可変型人間。


ポイント4 あとは、相手が3話す間に1を話すつもりで。きっとうまくいくはず!

二川:ぼくはイームズとは個人的に親しかったんだけど、いまおっしゃったことはほぼ間違いがないと思います。フラーも含めてケース・スタディ・ハウスや50年代の住宅は、1つの形を出しかけたわけなのね。古典的な建築の発想から、進歩とまでは言わないけど、ズレをやってみようという考え方があったんですね。あなたがその問題について言われたことは、ぼくも非常に理解できる。家具的発想のようなものから1つの新しい住空間が出来るんじゃないかと。

M ぼくはイームズとともだちだったんだけどぉ〜。これは自慢だな。しょうがねえなあ。

K インタビューの質問なのに自分の主張入れ込む。しかも長い。しかも自慢。オヤジやなあ。


有馬裕之 『limpid』

有馬:ガラスの壁を通して内部空間と外部空間が視覚的に連続していて、普通のテナントビルにはない内外混合・逆転の場が構成されている。このガラスの壁は効果的に光を透過させ内部空間を鮮明に浮かび上がらせ、あるいは反射して半透明〜不透明に遮蔽したりする。定法には4カ所にコートが点在していて山桜・沙羅・杉苔などが植えられている。

K なかなかゼータクなビルですね。フロントはガラスのカーテンウォール、しかも内部の仕切りも一部をのぞいて全部ガラス。しかも床から天井までの一枚ガラスですよ。

M さすが似非ヒューマニスト面目躍如。

K このやり方って、坪庭みたいなランドスケープも生きるし奥行きも感じられるし、確かにキレイで効果的なんだけど、ここ2年のミースブーム以来流行ってるといえば流行ってるやり方でもあるよな。

有馬:テナントエリアはそのまま外部に露出し、立面は外から見ると断面のようである。

K この断面みたいな立面とてもダサいですね。白い長方形がガラスに唐突に現れるの。そんでその長方形がまた謎なんだ。フロアから廊下みたいな空間が吹き抜けの上に突き出して、正面のガラスのところで唐突に切れてるの。これ、中身何にも入ってないの。構造体でもないし。わけがわからない。

M 純粋廊下? 物置? ちょっとわからんな。なんだろうコレ。

K さらにその純粋廊下を下から見たらさ、全部茶色い木目貼り付けられてるよ。

M この茶色死ぬほどイヤやな。ウソ木目。エレクトーンに貼ってありそうなやつ。ださ。

K この人美意識があるのか無いのかわかりません。


クライアント登場 有馬裕之設計/limpid
“自分自身が薔薇になれるステージ”

M シャキーン! 榎本興産副社長、マダム榎本鈴子さん登場です。

K シャキーン! 自分自身が薔薇になれる?何だこのコピー。

M 期待しましょう!


“面接の達人”有馬氏による実践講座

ケースその2

私は内装まで全てやらないと気が済みません。京都がお好きなマダムを相手に、自分のワガママを通すにはどうしたらいいですか?

マダム榎本(以下マダム):私たちのビルをすべてステージと名付けたのは、「私がそのステージを貸すわ」ということなんです。それははじめてビルを作ったときから同じ考えです。ここには花一本すらないけど、自分が薔薇の花になれるんだよって。私が輝くのよって。そのための器だと考えています。

マダム:私はいつも相手の事務所に行くんですよ。それで一度会いたいと思って事務所に伺いました。そして、すごい居心地の良さを感じました。薔薇の花はないけど、その薔薇は私なのかなあ、と。

K テナントに入ると薔薇になれる? はあ? なんやその新興宗教みたいな話は?

M このマダム大物だよ。けんちく家の事務所行って「私は薔薇」なんて考えるか?ふつう。それとも「私は木」のパロディかしら。

K 『かってにシロクマ』の読者以外にわからない話するなよ。

マダム:社長と三人で食事をした後、手紙をいただいたんです。そういう気配りのできる心をいただいたんです。それから、京都で勉強されていたこともあり、お茶の心なんかもよく知っておられたこと。

M いや、京都で勉強したからってお茶の心が身につくってわけじゃ……ボショボショ

マダム:有馬さんの空間は、シャープで一見寒々しいと思われるかもしれません。でもお茶の心という裏付けがあるせいか、居心地が良く、町にも合う建物になったと思います。

K お茶習おうか? いまさらだけど。

内装のデザインも有馬さんがされたそうですね。

マダム:最初有馬さんが提案されたとき、ノーと言ったんです。それは借りるひとのすることだと。でも今回はお茶心のこもったデザインに対するこだわりがありました。

M 有馬さんそうとう役者じゃのう。お茶の話なんかさっき全然出てこなかったじゃねえか。この時はいったいどんな理屈を使ったんだ?

マダム:有馬さんと、このビルやここに入っていただく人のイメージを話していると、感性が同じで話すたびにワクワクするし、楽しくなりました。

K ヒェーッ! マダム自分が有馬さんと同じ感性してると思いこんでるよ! 怖いよ有馬さん。マインドコントローラーや。絶対友達になりたくない。

M でもこれ使えるよ。「京都に暮らしていらしたの?」って聞かれたら、「住まいは町家で趣味は茶道、週末には座禅組んでました。」くらい当たり前のように言おうよ。

K もちろん「ワンルームに住んで趣味はパチンコ、週末は京都競馬場通ってました」とか絶対言っちゃいけない。



FAX批評 ファンからのお便りのコーナー

K このFAX批評読んでみ。

ところで高松伸ファンである私はかねがね郷里に高松伸作品をと願っていたのだが、既に役場も伊東氏が案を作っているとのこと。残念。(竹中工務店/大阪/36歳)

M ほお、きっと学生時代からの高松ファンだったんでしょうね。伊東さんなら十分いいとおもうんだけど。きっとこんなファン心理だよ。FMのDJ風にいってみよう。

京都市左京区在住の28歳・オーケン大好き!さんからのおたよりです!ありがとう!読んでみましょう!なになに、「故郷で大槻ケンヂさんがコンサートやってくれないかなあと思ってたのに、今月はミッシェル・ガン・エレファントが来るみたい。残念だなあと思ってます。がっかり〜。」先生のファンは根強いなあ。頭が下がりますね〜。

ワコール本社ビルについて/ゼネコンに身を置きながら言うのも何だが、内外ともに全てがゼネコン的なのである(もちろんこの作品がゼネコンとの協力により生み出されたことも知っている)。大企業の本社ビルという与条件がそうさせているのかもしれないが、高松氏の色よりもゼネコンの色の方が全面に出てしまっている。高松伸氏らしさが感じられるのは、エントランスの庇や階段の手摺といった細部の造形だけである。(中略)京都の町を南に下り、高松氏の出世作の1つ「ファラオ」を見た。ワコールに比べれば遙かに小さいが、今もなお力を失わないその姿に15年という歳月の隔たりを感じずにはいられなかった。(同上)

K ほらほら、きてるきてる。

お、またまた大槻ケンヂさんのファンからのおたよりですね!聴いてくれてありがとう!なになに、「大槻さんの最新アルバム聴いたんだけど、ちょっと物足りなかったです。事務所の移籍の問題とか、レード会社の方針とか、いろいろあったのはわかるけど、ちょっとプロデューサーの色のほうが出ちゃってるかんじ。そのあとで久しぶりに初期のアルバム『SISTER STRAWBERRY』聴いてみたら、短いアルバムだけどすごくいいの。過去の幻想を追っかけるのは良くないとは思うんだけど、やっぱり昔のはいいんですよねえ。」先生!聴いてますか?ファンからの熱いメッセージですよ〜!

M よくわかりました。最近の彼の活動に満足してるわけじゃないけど、昔のアルバム聴いたりしながらずーっと追いかけているのね。ファンは素晴らしいよホント。そこんとこ高松先生としてはどうなん?

K 高松先生、見てますか〜?



坂 茂 『アイビーストラクチャー』

M おっ、バンさんですよ!真打ち登場。

K イエ〜イ! けんちく界随一の男前キャラ登場。

M やっと面白くなってきたよ。今までのは前座ね。さて今回のお題は“アイビー”ですね。

まず均質な空間をつくるため、13メートル角の正方形にスクエアグリッド状の鉄骨の丸柱を配置した。プランの自由度を増すためにブレ[スや耐力壁をなくし、さらにグリッドを決定づける太いラーメンのフレームも作りたくない。そこで、丸柱にはできるだけ横力を負担させないように、ゴシック建築のフライング・バットレスのような部材で、9スクエアグリッドのフレームの四隅とテラス部分を周囲のアイビースクリーンのフレームと結び、横力を負担させた。

M いつもおもしろいですねー。フライング・バットレスだってさ。外側に耐力壁作って、内側にスカスカのハコ作って、それを鉄骨でガッチリ留めて……。スゴイわこの建物。構造体のフレームには金網張ってアイビーを這わすのね。あったらし〜い。

K 常にテーマを持っているバンさん。‘コンセプト’ではなくて‘テーマ’というのが重要。「柱ジャマだから外に全部出した!文句あンのか」という彼の声が聞こえてきますね。隠された意味も戦略的な意図もありません。見たままです。 オットコマエ〜!

M そのタネも仕掛けもないところに世の中の男子諸君メロメロ。ボクらもメロメロ。

露出する構造体。横力を負担する。

M 坂さんわかりやすくっていいよ。ホント男前だよ。この強そうな鉄骨接合部とか。

K ガツンやね。佐々木睦朗に頼りっぱなしのけんちく家たちにモノ申す!「構造のことも少しは自分で考えろ!構造設計に頼ってるんじゃねえこのクソがぁーっ!」(少年マンガふうに)

M カッコイイ! 坂さん芸人やね。芸があるってことだね。 動機は美意識から始まるのに、美意識を突き詰めたら何故か構造ジャマだから外に出すって発想になる。本人的には美しい空間めざしてるかもしんないけど、結局そっちよりも芸の部分のほうが面白い。

K ホントどういう発想で作ってるんだよ。ある意味で妹島和世より神秘的じゃん?

M 屋上はプールつきなのかな?と思ったらプール状の水を張って断熱を施したんだと。エコなのかなんなのかよくわからん。しかもアイビーの意味もエコなのか何なのかわからん。

K そんで所在地は港区大使館前。なんじゃそりゃ。こんなに都会が似合わないけんちく家も珍しいのにな。機能は共同住宅+店舗。お店って何? カフェかな? それともフレンチ?

M 坂茂のおフレンチ! いいじゃん。行ってみてえ。漢(おとこ)空間で食うオシャレーなフランスめし。


石田敏明 『カフェテラス フリーメン』

M そばに富士サファリパークがあるよ! いいなあ。行ったことないよ。

K 子供のころ行ったけどほとんど覚えてない。大人になってから行きたいよね。絶対あれは大人が楽しむための動物園だよ。狭い車の中にいても子供は絶対喜ばない。

M やっぱり「大きいおともだちのためのテーマパーク」ですね。フロントガラスにライオンが登ってきて、「おおーっ」とかいいながら喜んでるの。

K いいねえ。行きたいなあ。行こうよ。

M わしら車持ってないからダメだよ。だいたい免許すらないじゃん。

K 車持ってるともだちもいないしね。当分行けないっすね。残念。

M そんでさあ、何でこのフリーメーソンがGA JAPANに載ってるのかね? なんてことないレストランじゃん? よくわからんな。

K 『フリーメン』だよ。これは石田敏明さんがGA JAPANプッシュ、イチ押し、ニ押しくらいの若手けんちく家ってことではないかな。ほら、作風だってとーっても今風。ポリカーボネイドとガラスを巧みに使って壁によって“透明の質”を変えてますよ。微妙な差異で空間を演出ていうヤツね。

M あー、透明の質ね。全面ガラス張りにしたりしないで表情をつけるってやつね。高松伸先生にはどうしてもできないアレね。(42号かんそう参照)

K しかしそれにしては太い木の柱が異質だな。これはもっと存在感を消して“空間の純粋さ”を出した方がいいのではないかな。

M むっちゃ意匠系のつっこみだなあ。いったい今日はどうしたんだ? 私はこの建物どうでもいいんだけどな。次いこうよ。


クライン ダイサム アーキテクツ『V room』
すべてがうらやましいです。

K おっ。クライン・ダイサムですね。『BRUTUS』イチ押しけんちく家が『GA JAPAN』登場。そんでこれはガレージなんですか?

M クライアントは「イタ車を中心とした自動車のコレクター」だって。カッコイイっすね! こうでないとね。クライアントは。

K 絶対ブルータスの読者だな。徳大寺有恒の「間違いだらけのクルマ選び」の愛読者が『BRUTUS』のけんちく特集読んで、そこで彼らを見つけて頼んだに違いない。

M 間違いないな。『BRUTUS』のけんちく特集に載るのはオイシイっすね。

K 他のどの雑誌に載るよりもオイシイでしょ。けんちくオタク雑誌載っても一般読者見ないし、住まい雑誌読んでるヤツは小市民だし。

M いいなあ〜。載りてえよ『BRUTUS』。むっちゃうらやましいなクライン・ダイサム。

K ていうかむしろクルマコレクターがうらやましい。この道楽者。

当初、私たちの提案は、最大駐車数の8台を収容するために、一階には6台、二階に2台分の駐車スペースを設け、上階にはカーリフトで移動させるプログラムでした。

色々悩んでいる時にタイミングよく新しいマセラッティが発表されたのです。それに触発されたクライアントは、カーリフト分の費用で、新しいマセラッティを購入することになってしまいました。

M 「初めは二階建てのガレージにするつもりだったんだけど、たまたまマセラッティの新型が発表されてクライアントはその予算でマセラッティを買っちゃいました。」だと。なんじゃそりゃ。

K いいすね。エピソードまで金持ちの道楽者の香りがしますね。

M でも二階建てのガレージよりこっちのほうがいいじゃん。

K 多分そう思う。クルマの昇降機つけたらここまでスッキリした空間にはならんかったでしょう。見通しがとてもいいから、床のせり上がりが効果的。

M 子供おおよろこびですね。駆け登れそうなのがうれしい。忍者ごっするね絶対。

K 二階に登るにはどうしたらいいのかな。

M 上からはしごが降りてくるんちゃう? ウィ〜ンて。カッコイイ!

K あ、違った。写真じゃわかんないけど平面図みたら階段あったよ。外階段になっるんだ。

M 何でかな?

K そりゃあもちろん“空間の純粋さ”を損なわないために階段を敢えて外にしたんでしょ。美学っすよ。美学。

M いいっすねえ。そういうのこそ美学って呼んでほしいよ。

K まったくだよ。

M 二階はスタジオだってさ。スタジオって何だよ。便利な言葉。多目的ルーム並のいいかげんさだな。ここ何に使うんだよ。

K いや、これはうれしいと思うよ。クルマ好きの人なら。上からしげしげと眺めてみたり、ともだちを呼んで自慢したり!

M うわあ、ステキ!純粋に道楽のために作られた空間ですね。形も車っぽいよ。ピアノの形をしている音楽家の家と一緒ですね。

K そうか? 内部空間つくる上でたまたまそうなっちゃっただけじゃないのか?

M いや、絶対そうだ。

自動車が空気を切り裂く時のストリームラインの形態や、運転時に感じる車窓に展開する風景のチューブ感。それらのイメージからリボンがこの細長い敷地をフワッと巻き取るような形態が浮かんできました。

M ほらほら「ストリームラインの形態を」だってさ。

K ホントだ。まいったね。クライン・ダイサムってイメージオンリーでけんちく作ってるんだろうな。


黒川紀章+リチャード・ロジャーズ『天野製薬・岐阜研究所』


敷地は、ヴァーチャル・リアリティ(以下VR)技術に関する研究開発拠点として開発されたVRテクノジャパン内に位置する。

M いきなり現実引き戻されましたね。すげー。なんだよ“ヴァーチャルリアリティテクノジャパン”って。

既存地形の中へ等高線に沿って建物を埋込み、自然と人為的空間の調和を目指す一回答を行った。

M そんでまた、人間と自然の調和とか戯言が書いてあるよ。要らねえよ。実験するのにそんなもん。

K この写真、すでにおもいっきり薬品並んでますね。人が使ってる状態で取材したのか。GAにしては珍しいね。

M ところで私はその実験風景を眺めつつ食事を摂ることができそうでたぶんそうではない職員食堂見たいんだけど、写真ないですね。

K この研究所完全にスタート切ってるようだし、すでに目も当てられない惨状になってたんじゃない? すでに生協食堂化してさ。

M 「A定480円」とか壁にベタベタ貼ってあって、プラスチックの湯呑みボカボカ積んであって、給湯マシーンとかドーンと置いてあったりしてな。

K しかも所員がモソモソメシ食っててな。

M  GA的にまずいよな、その絵は。


長倉威彦 長倉計算空間研究所+国建建築設計部
『具志川ランセンター』

M 計算空間研究所ってなんだよ。

K 初耳やん。環境空間研究所とかはよくあるけど。計算ってのは・・・。

M 新しいよ。数理とかじゃなくて“計算”。

具志川ランセンターは、創業の栽培生産業から急成長し、各種バイオテクノロジー産品を開発生産中のハイテク企業である。大都市に経済活動が集中したバブル型の企業モデルにかわり、特殊技術を武器に地方の田園地帯からグローバルマーケットを相手に発信するという新しいモデルを模索する新しい企業で、その企業イメージにふさわしい新社屋の形態をみつけることがテーマとなった。

K 「ハイテク企業がグローバルマーケットを相手に発信」。……はて、『GA JAPAN』がいつのまにか『東洋経済』にすり替わって……。

M というか『プレジデント』ちゃう?

展望ラウンジの構造およびディティールには、このユニークなハイテク企業のイメージに比肩できる幾つかのアドホックなシステムを表現として考案した。

K オヤジ臭いよな。ボキャブラリーが。ユニークとかアドホックとか。シミュレーションとか。

M いや、面白いよ。このコトバのセンス。だって“計算”だよ。

一方、トラス・ジョイント部は構造体の美しさを決定づける重要なエレメントである。特に、展望ラウンジ室内からガラスを通して至近距離で観察できる部分もあり、まずコンピューターグラフィックスによって、入念に造形的な検討をした。そして、そのデータから三次元プリンターを用いて直接出力したプラスチック模型を作り、構造設計担当の古川氏および日本鋳鉄の君島氏と打ち合わせをし、発泡スチロールの原寸模型で最終形状を承認の上、鋳造制作してもらった。

M すごい! 何それ! コンピューターで作ったモデルをそのまま出力できんの? プリンターから発泡スチロールの模型が作れるの? スゲー! スゲエよ!

K ドラえもんのポケットみたいっす。夢のようだ。どうなってるんだ! 謎や。でもいいなあ。使ってみてえよ。大学もこういうもん買おうぜ。パソコンはもういいからさ。

M この人MITのセンセイだよ。道理で最先端だ。東大→ハーバード大学院→MITのセンセイだってさ。

K ……道理でボキャ貧。

かくして、田園企業のハイテク企業のイメージが形となったわけであるが、その実現のため、実は設計監理の過程でも様々なテクノロジーのお世話になっている。私のボストンのオフィス、共同した那覇の国建建築設計部、東京の古川洋氏の構造事務所をインターネットで結んで図面や三次元モデルを共有する遠隔共同作業を実践したり、ラジオシティを駆使した空間シミュレーションを徹底的に行うなど、日頃大学の研究教育現場で開発中のデザインテクノロジーを駆使して建築の完成度の向上に役立てることができたと思う。

K インターネットでつないで、フルに技術を利用して……まあ、とにかく好きなんだね技術が。テクノジャッパーンすよ。昭和オヤジセンスも技術革新に邁進するためだと思えば許す。

M 建物もテクノジャパーンにふさわしくガンダムっぽいね。バックミュージックほしいよ。ガンダム出動するときの。

K 坂さんに続き今月二人目の男前に認定ね。坂さんは『北斗の拳』でこっちは『機動戦士ガンダム』。むしろ真のモビルスーツけんちくとはこういうものじゃないか? ヤツらのは『ジャンプ』だな。イメージで描いてるウソモビルスーツ。

M そうだね。ところでこれ、工場じゃなくて「ランセンター」なんだよね。蘭を飾るのか、このモビルスーツに。これ見た人だれもお花センターとは思わないよな。ちょっと男前すぎます。

K 蘭のことなんか一言も触れてないよね。

M いや、ちょっと言ってるよ。

K コンピューターシミュレーションで入念に検討された栽培法によって作られた蘭はインターネットで発注されグローバルに・・・

M 違うよ!

ガラス・ハウスは、ランの花をはじめ各種の一次産品を栽培している既存施設で、栽培生産業からスタートしてハイテク企業に急成長したこの施設の原点を象徴しているともいえる。沖縄の陽光のもとで銀色に輝くガラス・ハウスの屋根の一群はそれだけでまさに大海原のような絶景だ。

M は? 上からみたガラスハウスが絶景? 絶景なのは蘭じゃなくてガラスハウスなのね? 蘭好きの方々は喜ばないとおもうぞ。

展望ラウンジは工場内部や展示物を見ながら上昇してくる見学者が最後に行き着いて大海原を見渡す終結点であり、オフィスや研究スペースで働く施主や従業員にとっても、日常化したコンテクストをもう一度再発見してもらえるような場所を作るべくこころがけた。

K 工場見学用通路そっくりの展示順路に沿ってひととおり蘭を見たら、最後にガラスハウスの絶景が用意されてるのね。コラコラオッサン!


そのほかいろいろ

■安藤忠雄/青森芸術創作工房 K 安藤先生になればこんな図面でも良いということですね。 M 芸術ってなんだ。これもやっぱ卒業設計じゃん? K 自然からインスピレーション、なあ……。  ■妹島和代/H-Building K プロジェクトってことは、‘建つ予定があるよ’ってことですね。セジマさんにもなると予告編まで流してもらえるんですね。 M お、原宿だ。行けるじゃん。セジマさんが都会派になってきましたね。うれしいな。 K お、大槻ケンヂさんが故郷きてくれるといいなあと思っていたのでとっても嬉しいです。って言ってますね。  ■妹島和代/S-Building M こっちは町家。もしかして京都?とうとうセジマさんが京に……うれしいっす。K 残念、奈良です。京都は全国を巡回して最後に来ると見たね。 M 図面が読めないんですけど……。 K 本当だ。とにかく全面ガラス張りってのはわかるけど、町屋でこれってかなり難しいっすよ。  ■有馬裕之/d project K ステンレスネットで全面を覆って、そのステンレスネットの網目の密度で変化を付けるんだって。はやりの“透明の質を変える”ってヤツですね。 M そんで中身はフレキシブルに対応できる何でも空間。さあっすが最新ですね。 K その類のことは全部昔ミースがやってるんだけどね。ところでこのエレベーターは階によって入り口の向きが違うんだけどコレって有りなの? M そりゃあ可能でしょ。技術的には。そんで‘右側が開きます’ってアナウンスが流れるの。 K いいじゃん。  ■GA広場 吉野川・可動堰のデザイン M うっわー何この建設省案。だっせえ。死ね。 K これ建てたら犯罪だよ。 M これ取材してたさる報道機関の人がさあ、報道では市民の味方しなくちゃいけないんだがやっぱり建設省の言い分の方がスジが通ってるってこっそり言ってたよ。 K けどこの河口堰の完成予想図はスジが通ってないよ。どう見てもデザイン的にまずいよ。建築的価値があるものを作り替えるならばデザインに対して慎重になるのは建設省の仕事のスジの通し方としてやって当然のことだよな。 M と、いうことだ。いいじゃんこの代替案。これ使いなよ、建設省も。 
 


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