桂(以下K) おっ模様替えしましたね。
み江(以下M) もう10月ですからね。冬毛に生え変わったのです。
K ようするに長らく更新していなかったということですね。
もくじ
安藤忠雄 『淡路夢舞台』
新・現代建築を考える○と× 『さいたまスーパーアリーナ』 ゲスト日建設計の方々
日建設計 『さいたまスーパーアリーナ』
原広司 『広島市立基町高等学校』
山本理顕 『広島市西消防署』
村上徹 『鶴学園八千代校舎 カンパネルラの館(いえ)』
藤森照信+桑原裕彰 『ザ・フォーラム』
建築家登場 鈴木了二
妹島和世+西沢立衛 『横浜市六ツ川地域ケアプラザ』
渡部和生/惟建築計画 『光の風景(東村保健福祉センター)』
石山修武 『TREE HOUSE』
GA SCHOOL 「空間の文法 [様相]2」原広司
高松伸 『師勝町総合福祉センター「もえの丘」』
飯田善彦 『県立北総花の丘公園 花と緑の文化館』
連載 「歴史は現代建築に必要か」 第3回 藤岡洋保
連載 「口説 日本建築史 4」 伊藤ていじ
| 安藤忠雄 『淡路夢舞台』 |
M うわすごいですねこれ。安藤けんちく総集編って感じですね。
K このへんは『直島』でしょ、そんでこのあたりが『天保山』。
M ここは北山の『名画の庭』ですね。花壇のまわりは『六甲の集合住宅』。
K この階段は『近つ飛鳥』だね。おっ『光の教会』もあるなあ。
M おお、過去の名作が走馬灯のように。
K 縁起でもないな。それでこれは安藤忠雄の影武者が10人くらいでつくった‘安藤ポストモダン’ですか?
M いや、安藤忠雄ファンクラブによる‘安藤忠雄へのオマージュ’かもしれないよ。
K まとめると汚ったねえなあ。線が結構くずれてますよねえ。本来ならもうちょっと押さえるべきところは押さえるはずなんだけどなあ。
M いや、その辺は影武者だから。でもホント、いつもはネタが一つだからカッコイイのに全部ぶちこむとわけわかんなくなりますね。ジャイアンシチューですね。
K 今回のGA JAPANが冴えてるのは、この‘真上から見た写真’を載せたところだな。『新建築』と一つ差をつけましたね。
M ヘリ飛ばしてババババとかいいながら撮るのかな。このために。さすがだなあ。ところでこの建物は何ですか。会議場とホテル以外は特にこれといった機能が見あたらないのですが。
K 帽子かぶったオジサンオバサンがうろついていますから、純粋な散策のためのスペースでしょう。われわれが時々やる‘けんちくを見る’という行為を一般の方々にも味わってもらおうということですね。
M 余計な展示物とかで‘空間の純粋性’を壊されたりしないんですね。さすが世界の安藤さんは格が違います。うらやましい話ですねえ。
| 新・現代建築を考える○と× 『さいたまスーパーアリーナ』 中村光男・亀井忠夫・高橋てい一・二川幸夫 |
K 今日のゲストは高橋☆一さんです。
M えっ誰?
K いや、高橋青光一さんです。第一工房を主宰している人です。
M 高橋てい一さんですか。ようするに漢字がないんですね。なかなかダンディなオジイサンですな。いつもと趣が違う感じですよ。
K 今回短いもんね。議論を闘わせたりしてないね、いつもと違って。間違っても ‘空間’の話とか‘開く’がどうとかいう話はしないにちがいない。
二川 この建物はどなたが主導権をもって設計されていたんですか? それが最近の大手はわからない。透明感がありませんね。
中村 いろんな協力者がいまして、大成建設の設計部とか三菱重工の可動部分の設計者、エラビー・ベケットというアメリカのアリーナとする事務所の専門家・・・・。
二川 そうじゃなくてデザインは?
中村 デザインは、私が最終的には意志決定をしました。大勢の人間がスケッチをしスタディを重ねたものを、誰かが方針を決めたと言わないと次にいかない。それは私がやりました。
二川 それなら中村さん、もっとスターにならないとダメね。
中村 性格が地味なものですから・・・(笑)。
高橋 彼は実際スターですよ。
二川 でもぼくは知らなかったもの。M 「ぼくが知らない人はいないのと一緒。」って言ってますよ。「ぼくはおたくの広報から資料をもらうんだけどぉ。」って感じっす。
K 「ぼくスター選手が好きだしそれしか興味ないからぁ。」‘性格が地味な人’とかを相手にするとこうなってしまうのかねえ。まるで女子4人組の喫茶店おしゃべり状態っす。
M 親分格の女子が一人で勝手な(自慢)話をしゃべるもんだから、ほかの3人は相づちうったり、興味がありそうな内容について質問投げかけてみたりして‘おもてなし’してしまう状態のことですね。
K 今回のメインは‘二川節’ですね。インタビュアーが一番発言長いもんね。
高橋 ぼく、最近見てきて結構驚いたんですが、フランク・ゲーリーのビルバオ・グッゲンハイムは、どう思います?
二川 いいですね。ぼくはあれで20世紀が終わったと思ってる。よく言ってる話ですが、フランクの自邸をピックアップしたときに、フィリップ・ジョンソンにどうしてか聞かれたんです。そのときに彼の作品は建築じゃなくて現代美術だといいました。そろそろ建築の様式論からはずれたおかしなやつが出てきてもいいんじゃないかって。ぼくが建築を見るときの基本的なことはこの人に勇気があるかどうかなんです。デザインは決定力だからそこでぐちぐち考えている奴だとダメ。ゲーリーにしてもジャン・ヌヴェルにしてもそう。だから日建もスターをつくらないと、と言うわけ。K ああもう高橋さんが質問してどうするんだ!「どう思います?」じゃないでしょそこは。高橋さんゲストでしょ頑張ってよ。
M ユキオもノリノリで「20世紀が終わったと思ってます」とか言ってるよ。完全に主客逆転。
| 日建設計 『さいたまスーパーアリーナ』 |
M 高橋さんが「お部屋っぽい」と言っていた室内の写真が見たいですね。
K 室内の写真・・・があんまりないですね。なんかわけわからない強そうな外観写真ばっかり載っかってますよ。あ、かろうじて内部の写真がありましたよ。でかいけど。
M しっかりした屋根がかかっていて、ライトがついてますね。確かにお部屋っぽい。
K こういう抑えめのライティングはいいですね。人工芝がものすごく人工的に見えます。ビニールクロスみたいにツヤツヤしてますよ。
M ‘布張りのイス席’も面白いと思うんですが、デカイ写真しかないからよくわかりませんね。
K サインは今注目の水戸岡鋭治が担当。この建物の注目箇所は、ひとつはアリーナの可動式フロアで、ふたつ目が照明とか家具・サイン関係でしょう。でも外見が妙に派手だからそのへんを見る人はいないんじゃないですか。もっと地味な外見にすればよかったのに。
M 原広司先生の京都駅みたいですね。外はイカツくて中は丁寧。
K でも埼玉だから「あの下品な建物はなんだ!」とかうるさい人はいないけどね。
| 原広司 『広島市立基町高等学校』 |
K うわさをすれば影。さすが裏カリスマっす。原広司センセイの登場ですよ。
M この建物は工場かな?と思ったら学校か。どこに何を作っても京浜工業地帯みたいになりますね原センセイ。
K センセイの立面て本当に‘オリジナリティ’のあるデザインですよね。ていうか確固としたブランドイメージがあります。
M いつも大ざっぱかつ意味不明のボコボコがついてるんですよね。でもこの校舎、内部はなかなかきちんとしてないか?
K そう、原センセイは内部空間はいつも悪くないのですよ。丁寧だし。ポップな‘原広司イエロー’と‘原広司ピンク’がアクセントです。つくづく‘内と外のギャップ’が激しいなあ。
M 新聞の投書欄によく載ってる「お年寄りに席を譲る茶髪のニイチャン」みたいだな。
K 「ポストペットにはまっているヤクザ」とかね。そんなやついないか。
M これ学校だしさ、けんちくで教育哲学を体現しようとしてるんじゃないの?「外見で判断されても気にするな!人間はハートじゃ。」
K さすが原センセイわかっていらっしゃる。生徒は毎日この校舎を見て、「人間はハトじゃ!」、じゃなかった「人間はハートじゃ!」を心に刻み付けるんだね。
M それでもって素描教室に油絵教室? すげえな、陶芸教室に日本画教室、染色教室に彫塑教室もあるぞ。クラスルームはなさそう。これ普通の高校か?
K 普通なわけないですよ。芸術コースのある単位制高校といったところですかね、少子化に対応して。
M お、やっぱりハト教育、じゃなかったハート教育目指してるんじゃん。
| 山本理顕 『広島市西消防署』 |
M 久々登場の理顕さんです。透明消防署ですよ。消防署って透明でもいいのかな?警察署なんかは見えちゃまずいところが多そうだけど。
K 警察にくらべれば秘密にすることは少ないでしょう。それにしても理顕さんは透明好きだなあ。
(山本)近所の幼稚園の園児たちが見学にくる。ガラスの床に大喜びし、訓練の様子を見て歓声を上げる。「かっこいいー!」テーマパークのようだけども、初期の目的は達したんじゃないかと思う。事務室からも救急教育センターからも展示ロビーからもガラス張りの署長室が見える。ブラインドはおろさない。制服の背筋をピンとのばして机に向かっている広川署長の姿が見える。M ほんとに透っけ透けやなあ。ブラインドはおろさない!おろさせない!机に足のっけて昼寝とかできないよ。かなりの緊張感を日々強いられますねこれは。
K 背筋ものびるわそりゃあ。京都の(新しいほうの)毎日新聞社ビルとかそんな感じだよね。あれで社員の勤務態度はかなり変わったはずだ。
M 記者さんけっこう困ったんじゃないかなー。
K 新聞記者がキレイにスタイリッシュになってもしょうがないからな。
M この建物はもっと過激だよ。ほとんど見せ物ですよ。テーマパークというより動物園じゃん?
K 本当だ。まるで檻みたいですよ。 「ブラインドはおろさない。」しろくまかなにかですか。
M 公務員の勤務態度があっという間に透明になるよ。キャッチコピーは「公共事業は明快に。公僕はみんなの見せ物。」
K 「行政の透明化は庁舎から。」わかりやすいですね。効果的な方法ではないかい。もう日本全国の庁舎関係これで行きましょうか。全てガラス張りを義務づけましょう。
M しっかり仕事しろよ。歯みがけよ。頭洗えよ。
K 市民の目が光っているぞ。
| 村上徹 『鶴学園八千代校舎 カンパネルラの館(いえ)』 |
K かわいいぞ。すごくかわいい。
M これ学校?小さいぞ。
K 通信制高校だから、教室は3つだけ。ほとんどサロンですな。
M 全然学校らしくないな。
K 柱細い!屋根軽い!何で出来ているのだ?
M 全然わかんねえ。屋上に100人上がって人文字とかやっても大丈夫なのかな。
K なんだか今回、学校特集の前号(GA44号)よりもおもしろい学校が載ってませんか?
| 藤森照信+桑原裕彰 『ザ・フォーラム』 |
M これなに?インスタレーション?
K フジモリ・ザ・アートとかそういうやつじゃない?
M 何じゃそりゃ。そういうやつってどういうやつだよ。
K いや、仲間同士で内輪の集まりするんだよ。赤瀬川原平とか、陶芸家とその妻とか。そんで詩の朗読会とかするんだ。ヒゲ率高そう。
M ああ、オヤジは襟なしシャツ、オバチャンはプリーツあるいはエスニック着用なのね。
K 多分顔に「全共闘世代」って大書きしてあると思うよ。
藤森 ぼくは基本的に赤派なのですが、インテリアに関しては白派の箱の中に如何に赤を入れていくかをテーマにしているわけです。M 僕は赤派なのですが・・・藤森さんアカ派発言です。
K アカ? 全共闘とは関係ないよね?使う色が赤ってことだよね?わかりやすい表現だなあ。
M こういうキャッチコピーつくるの巧いよねえ藤森さん。
K 竹中が作った白派のハコの中に、赤派の鳥かごを作ったという話ですね。ほとんどインテリアデザインだ。
M やっぱりインスタだ。
| 建築家登場11 鈴木了二 |
M 了二さん登場!イエーイ。
K この号の影の主役ですよ!イエーイ。
M 今われわれが注目している建築家ナンバーワンなのです。ていうか表の主役って誰さ。
K そりゃあユキオでしょう。やはり。
M 了二さんヘビのようなネクタイをしているよ。
K 本当だスゴイ!写真を載せられないのが残念。ひょっとして気合い入れてきているのかな。
M 今日のバトルは見ものですよ。リョ・ウ・ジ!ボンバイエ!
K 大長編ですが行ってみよう!けんちく戦士ユキオ第11話「ユキオの宇宙開拓史」
今月の敵はヒネクレ星人なのだ! 二川 まだ面識がなかった頃に筑摩書房で出版された本を送ってくださったことがありましたね。
鈴木 はい。あのときは本当に失礼いたしました。
二川 『非建築的考察』という本でした。あれを読んで世の中には随分しつこい人間がいるんだなと思ったのが一番最初です。それがきっかけで鈴木了二はどういう人なのか興味をもった。K 「随分しつこい人間がいるんだな」か。初っ端からユキオナイスジャブ。
M 竹中工務店→槙総合計画事務所。なんだこの経歴。意外ですね。
K 竹中? なんでそんなとこにいたんだ?
鈴木 「○○先生のアトリエで修行して」というようなパターン化された流れに反発して、組織としてなるべくでっかいところで仕事をしたいという気がありました。それにゼネコンとアトリエ系のディティールを見比べると、明らかにゼネコンの方がノウハウが高いと思いました。当時はね。M なるほど!ヒネクレてゼネコン行ったのか。
K しかも当時からディテール志向。合点いったぞ。やっぱりヘンタイ君だ。
M ヘンタイとか言うとまた「ぽむは鈴木了ニが嫌い」と思われてしまうのでフォローしますが、ヘンタイという語はニュートラルに使っていますよ。念のためわれわれは鈴木了ニファンです。
K 関係ないけど鈴木了二さんに酷似していると思われるぼくらの同級生マツオカ君も、やっぱりヒネクレてハーバード行ったり結婚したりしているのかな。
M 「何でハーバードなんですか?」
K 「ヒネクレたからです。みんなヨーロッパに行くからです。」
M 「何で結婚したんですか?」
K 「ヒネクレたからです。みんな30過ぎても独身ていう流れに反発して結婚しました。」
M また勝手なこと言って。けど案外そんなとこかもな。
K それで話を元に戻すと、槙事務所に入ったのはどうしてかな?
M こっちは一応出向という形みたいですよ。とくにヒネクレたというわけではなさそうです。
しかも元ゾクなのだ!「さん」付けで呼ばなくちゃ! 鈴木 実は竹中にいた時から会社の仕事だけでは何か物足りなさを感じていて、グループをつくっていました。「フロムナウ」という、今聞くとちょっと恥ずかしい名前なんですけど(笑)当時はスーパースタジオとかアーキグラムといった名前がかっこうよかったし、やってることも刺激的だったから、似たような調子で名前をつけて、一年に5つくらいコンペに出していた。M 「フロムナウ」!この人もやっぱりゾクやってたんだ!バリバリだぜ!
K 当時はスーパースタジオとかアーキグラムというゾクがカッコ良かったんですねえ。ようするに今のMVRDV?
鈴木 グループと言っても実は2人しかいませんでした。ぼくと一緒に組んでいたのは、建築家ではなくて、インダストリアル・デザイナーの白石義紘という人です。
鈴木 建築仲間ではなしていると、どうしてもくだらない話になるんですよ。たとえば窓はもうちょっと狭いほうがいいとか、ここは四角より丸のほうがいいとか。そういうどっちでもいいような話をしないで済む気持ちよさがあったので、彼とは随分長いこと一緒にやってました。M 2人? なんだ、ゾクじゃなくてコンビじゃん。
K 「建築仲間でツルむと話がみみっちくなるからインダストリアル・デザイナーの人と組みました。」やっぱりヒネくれてるわ。
M ちょっと後で建築の枠組み自体が信用できなかったとも言ってるよ。30年前から。カッコイイ!
二川 僕が鈴木さんは建築家としてイケるんじゃないかと判断したのは「佐木島プロジェクト(95年)」です。あれは今でもいい建物だと思うし、日本の建築界の一つのレベルをつくったものだと思う。とくに木造なのが良かった。それまでの建物というのは重さが気になるんです。M 「建築家」として「イケる」んじゃないかと「判断」したらしいです。さすが建築界のドンらしい発言ですね。
K 「オレがルールブックだ」状態ですな。二出川幸夫に改名したらいかがですか?
リョウジ専用「ディテール命」号が機動!パラリラパラリラ 鈴木 建築家の中で一番重いのは誰か、軽さの点では誰かとよく考えるんです。一つのヴォリュームとしてはアドルフ・ロースが一番重く感じるとかね。重い軽いは価値じゃないとおもう。
二川 ロースが重いというのは違うと思うね。確かに見た目は重いんだけど石の使い方が軽い。建築家のなかで本当に石が使えたのは、ロースとスカルパですよ。K 面白いなあ鈴木さん。「いちばん重いのは誰か、軽いのは誰か。」こんなこと考えるか?ふつう。
M とことん発想が即物的だよね。世のけんちく人は作家性がどうのとか社会性がどうのとか議論してるっていうのにさ。
K しかも重い軽いは価値じゃない、とクギをさしてますよ。この場合相手は二川さん及び世間に対してって感じかな。「ぼくは軽ければ良いと言っているわけじゃないです。」っていう。
二川 ちょっとニュアンスは違いますが、禅宗の軸組のような感じを受けました。
鈴木 日本の古典建築の軸組の問題は、その前に練習というのではないけれど、別の仕事で勉強した時期があったんです。「成城山耕雲寺」(91年)という寺をつくった時、近隣の問題があって、建物の高さを低く抑えるためにほとんどの施設が地下になったから本体はほとんどコンクリートの擁壁なんですが、屋根だけは日本の古典的システムそのものでやってみたいと思いました。その時、奈良から室町あたりまでずっと軸組を調べたんですよ。M やっぱり面白いわ鈴木さん。モノに対するオタク力がすごいよ。
K 調べてるよ。モノを徹底的に調べさせたらこの人の右に出るものはいないと。
鈴木 僕は長距離でものを考えたことはないんですよ。よく人からも「おまえは短距離だからな」と言われます。ぼくの好きな建築家も不幸にして若いときだけという人が多い。チャールズ・レニー・マッキントッシュは40歳くらいまでで、後は表舞台から消えてしまう。ジュゼッペ・テラーニは戦争で頭がおかしくなっちゃう。ミース・ファン・デル・ローエは長続きしたみたいですが、ぼくが関心あるのはドイツ時代なんです。ミースはむしろ違う人生を2度生きたというべきで、ぼくにピタッとくるのは前の方ですね。ル・コルビュジェに対してはちょっと引いてみています。
二川 テラーニとマッキントッシュとミースですか。あなたに関係なさそうだね。M ちょっとちょっと二川さん。テラーニとマッキントッシュとミースでしょ。大いに鈴木さんに関係ありそうじゃないっすか。
K ようするにストイック系ですよね。ディテール凄味系。いかにも鈴木さんが好きそうですよ。
激しいパンチの応酬!今月の敵はいつもと勝手が違うぞ? 二川 ところで、今日はあなたの本音を聞きたいんだけど、今考えてることって何?今の建築家の流れに対して感じていることはありますか?
鈴木 流れなどというものはないんじゃないかな。建築の全体の動きといった捉え方もジャーナリスティックな面白さ以外のものではないし、それほど関心がないですね。全体化するのではなく個別にあたるほうがいい。K 本音を聞きたい、とは普段このコーナーではあまり見られないストレートパンチですね。
M 今何考えてるか、って言われてもすでにけっこう話してるよねえ。「誰が重いか軽いかとか考えてます。」って言ってますよ。
K 「ディテール命です。物質のことしか考えてません。」とも言ってないけど言ってますよ。これ以上何が聞きたいんだろう。
M 鈴木さんだってジャーナリズムが「今の建築家の流れ」と呼んでいるものを把握してないわけじゃないでしょう。だけどバカバカしいからべつに参加したくないって言っているようにも取れますよここは。
K おおーっとユキオに対する痛烈な右アッパーですかこれは?「キミ何考えてるのかわかんないんだけどお〜」とか言ってる場合じゃないっすよ二川先生〜。
「怪力誘導獣」vs.「妖怪砂かぶり」モンスター対決! 二川 それじゃ、日本の中であなたが影響受けた建築家は誰ですか?
鈴木 日本だとやっぱり池原先生のそばにいましたから、それは当然として、磯崎新さんの「大分県立中央図書館」は好きですね。あの後に磯崎さんはいろいろな方向に展開されますけど、ぼくの関心はそこでとまっている。そういう関心は突然トラウマ的に出てくるんです。その作家をずっと追いかけていこうとはなかなか思わない。そうなった人はテラーニだったりマッキントッシュだったり、あとはルイス・カーンぐらいで・・・。
二川 それならその作家の影響が自分の中にいろいろ出てくるはずでしょ。あなたはあまり出てこないね。本当に惚れてないんだろうね。M 磯崎さんの「大分県立中央図書館」か。納得。それにしてもユキオむちゃくちゃ言ってないか。
K 本当に惚れてたらネタをパチったりしないだろう。むしろ逆だよ。
鈴木 いやいや、そんなものが出たら嫌ですよ。恥ずかしくて。だってその人よりかは絶対に落ちるもの。大好きな作家に失礼でもあるし。
二川 それは取り入れ方だと思いますよ。
鈴木 どこかには出ているんでしょうけど、「アレだろ?」と言われるのは嫌ですね。シッポを捕まれているようで。だからわからないように消してしまいます。でも最近は、これはあそこから来ていると分かる部分が無いわけでもないのかな。
二川 あなたはピーター・アイゼンマンの初期の作品に影響を受けていない?
鈴木 確かに好きでした。見抜かれてしまったように影響は受けているでしょうね。K おっとユキオ選手「怪力誘導獣」を召喚しました!何が何でも他の作家の影響を見たい模様です。
M それにしてもリョウジ選手、誘導に乗りませんね。これはひょっとするといつのまにか「妖怪砂かぶり」を召喚していたんでしょうか?
K おっそれはリョウジさんの守護モンスターですね!?
【モンスター名鑑NO.24】
怪力誘導獣■ 【モンスター名鑑NO.107】
妖怪砂かぶり攻撃力61000 防御力25000 魔力39000 強引に相手を誘導して
自分のペースにはめるぞ!どんなに勝負を仕掛けられても
決して土俵の上に上がらない
手ごわいモンスターだ!二川 いい建築家は影響を受けたものを見事に噛んで砕くんです。カーンがライトを取り入れたようにね。M 余計なお世話じゃ。
K それ「いい建築家」っていうか「(ジャーナリズムに都合の)いい建築家」じゃん。
M どうも物語の上に乗せないと調子がでませんね二川先生。
K どうにも物語の上に乗っかってくれない鈴木さんにユキオ苦戦!
ユキオ反撃!必殺「ロイヤル説教ボンバー」! K さて、そろそろ編集王ユキオの「ロイヤル説教ボンバー」が出動する時間ですよ。
M 水戸黄門で言うところの「8時43分印籠タイム」ですね。
K ユキオは ホイミをとなえた! さあ反撃開始です。
二川 あなたは仕事をとらないといけない。それも建築家の実力のうちだからね。M おおっと今回は「仕事しろミサイル」を搭載している模様です!
K リョウジに 38000ポイントのダメージ!
二川 ヨーン・ウッツォンという人がそうなんですよ。君よりもっと変な人間だった。個人的にもよく会ったし、センスは抜群だった。でも彼は仕事が取れないんだよね。もっと仕事をしていたら、すごいことになっていたと思う。
鈴木 作品の数は少なくてもぼくの頭の中ではすごい建築家だと思っていましたが。M 鈴木さん地上から応戦です。
K 「作品の数は関係ないぜ迎撃ミサイル」であります。
死闘の行方は何処に!?そのまえにちょっと休憩CMタイム 二川 Zodiacで特集されていた60年代前後の彼のプロジェクトは強烈だった。なのに仕事はとれない。逆にルイス・カーンは仕事を取れなさそうなのに、何故か仕事がある。
鈴木 あれはどうしてですか? ぼくにとってはミステリーなんですよ。
二川 多分女にもてるということではないかな。
鈴木 そこはぼくと確かに違う(笑)。M カーンは女にはもてないと思うけどなあ。
K むしろ男に抜群にもてるよね。男子のハートをわしづかみにして固定客をガッチリゲット。
M それを言ったら鈴木了二さんだって男子ウケするタイプだと思うんだけど、違うのかな。
K 鈴木さん「変なヤツ」だから仕事取りにくいんじゃないの。死んでから評価が上がるタイプと見たね。しかもマニア中心に。
M ・・・もしかしてカーンてホモじゃないの?「あれだけ作品がマニアックなのに、なぜか仕事がある。」と来ればそう考えるのが自然だって。
K あ、なるほど!それであんなに男子ファンが多いのか。作風もなんだかフンドシみたいですしね。
M っちゅうわけでぽむ仮説「カーンはホモ」。やっぱり歴史を回すのはホモとギャル男っしょ。
二川 59年から着工したシドニーのオペラハウスも途中でダメになっていくでしょ。普段はジェントルマンだし、もの分かりが良さそうな人に見える。でも、たまに鬱病じゃないかしらと思わせるときがあった。
鈴木 いいですね。ますます好きになりました。その鬱病だというのを聞いたら。
二川 君は鬱病ではないでしょ。
鈴木 ぼくはないですね。躁はあるかもしれないけど。
二川 ぼくは躁も鬱もないから、理解できないんですよ。K 「理解できない」発言。二川先生正直でいいぞ。 しかし変な会話だなあ。
M しかし鈴木さんヘンなキャラだなあ。佐々木倫子のマンガに出てきそう。
クライマックス!愛と勇気と感動の伝説が、今始まる……! 二川 とにかく、ウッツォンの例もあるように、あなたものをつくらないと駄目ですよ。
鈴木 困りましたね。
M 二川先生ひたすら絨毯爆撃を続ける作戦のようであります。
K 「困りましたね。」とか言いつつ全然困ってない鈴木さん。ミサイルを次々打ち落としております。
二川 一年に5件も6件もやる必要はないから最低一年に一件。仕事がないなら、自分で勝手にプロジェクトを5つくらいつくるといいと思うんですよ。
鈴木 実は、それは考えているんですよ。
二川 その展覧会はぼくが引き受けてもいいよ。
鈴木 お、本当ですか? いつを目標にしたらいいですか? それは最高だなあ(笑)。M おおっと鈴木さん背負い投げ一本!決まったー!ゴールゴールゴールゴールゴールゴールゴールゴールゴールゴールゴー・・・
K 口を滑らす二川選手。すかさずツッコむ鈴木選手。押すべきところと引くべきところをわきまえております。柔よく剛を制しました。ていうかオリンピックネタ微妙に古いよ。
M 更新サボってるあいだに時期を外したな。ともあれこれからもがんばれ了二さん!! 貴重なキャラや。
K 本当に貴重なキャラですよね。建築家として。
M これがマイノリティだからなあ。
K ここはユキオ完敗ということでいいっすね。
【第11回 GA杯】
けんちく家vs.けんちく写真家たいけつ軍配:鈴木了二
決まり手:うっちゃりM ユキオ談:「めっちゃクヤシイ〜〜!! やっぱ金がいいですぅ〜〜!!」
K だからネタ古いって。それでこれいったい何の格闘技だったんだ?
| 妹島和世+西沢立衛 『横浜市六ツ川地域ケアプラザ』 |
K ういっす!
M ういっす!
K 何も言うことナシ。了解!
M 了解!
| 渡部和生/惟建築計画 『光の風景(東村保健福祉センター)』 |
K むう。これはなんだ? 落としどころがわからんぞ。フツーすぎて。
M インタビューの表題「オーソドックスに空間を追求する」って書いてあるよ。
K 個性がないのが個性です。って、売り出しのころの中井美穂だな。
M 柱細っ。
K イマドキのオーソドックスが満載ということか。細い柱、白い壁にルーバーの多用。窓にはフィルムなんかも貼っちゃうぞ。
M ハヤリのディティールを使うのがオーソドックスとは思えませんが。
K ちょっとバランス悪いなあ。全体のヴォリュームに対してルーバーとかが細すぎて、ちまちま見えてしまうぞ。
M まあまあ。個性がないのが個性の女子アナに「ブサイク!」とかツッコんではいけません。
K 売り出し中の人のようだし今後に期待しましょう。中井美穂もあのあと売れたわけだしね。
M しかも女子アナとして「上がり」ましたしね。野球選手と結婚して。
| 石山修武 研究室世田谷村地下実験工房 『TREE HOUSE』 |
M これはなにかな? インスタ?
K どうぶつですな。ウィーン、カシャッって動くヤツ。
M 『TREE HOUSE』か。やっぱりインスタだ。楽しそうだな。
K もちろんこれイノシシがモチーフですよね?エキスパンドメタルのイノシシ。森の中に突如あらわれたハプニング!
M ハハハハプニング!? そりゃまた文字通りのハプニングですね?普段けんちく家が使っている、あの‘誰かと誰かがぶつかって’ていう‘HAPPNING’とは違いますね?
K けんちく家の言う‘HAPPNING’は、‘誰かと誰かがぶつかる’場を設定することを言うのですね。だから一般の人には気づかれないのですね。無意識のうちにぶつかっちゃうのがウリ。こっちはもう、隠し立てゼロ。
M 誰が見てもイノシシですな。
| GA SCHOOL「空間の文法 [様相]2」 原広司 |
M この長期連載ですが、一体誰が読んでるんでしょうね。
K しかし打ち切りにならないもんだな。読者アンケートが悪くても連載のつづく『ROOKIES』のようなものか。あっちはわれわれは愛読しているけどね。
M お、なんか計算が書いてあるぞ。F=m(t)???
K ふにふにとグラフが描いてあるぞ。
M それでもってハイデガーにメルロ・ポンティ? スんゴイ授業だな。
(*6)場におけるトラヴァーシングの様相modeの全体を様相modalityと呼ぶ。
これは論理的にはほとんど意味を持っておりません。何故なら、これまでの検討は、およそ全体というにはほど遠いモデルを組んでいるに過ぎないからです。従って(*6)は一つの構想です。その構想がどのような意味をもっているかについて、次回で述べようと思います。M がっくーん。なんじゃそりゃ。これまでの連載は何だったんだ。
K さすが長編。導入だけで単行本7冊って感じですね。ついでだから予告編でもつけてあげよう。ジャンプ風で。
M 次号!とうとう様相がベールを脱ぐ!敵の正体は意外にも・・・!?
K ご存知おちゃめなフラクタル・ガイ、原広司センセイにはげましのおたよりを!
| 高松伸 『師勝町総合福祉センター「もえの丘」』 |
K ジャーン。われらがヒーロー伸さんですよ。
M ところがどうも若林さんと勝手に対決させて勝手に負けさせて以来、われわれはアンチ高松のレッテルを貼られているようですよ。
K なんと。そんなヒドイ。伸さんのこと好きなのに。特にワタシ。
M ええまったく。「ぽむは鈴木了ニが嫌い」とか「ぽむは隈さんが嫌い」とか思われてしまって困ります。
K さて今回の寄稿文ものっけから伸節炸裂。一文長いぞ。息継ぎできません。
M 地方分権、震災、IT産業、高齢化、グローバリゼーション、コミュニティの喪失、キーワードが全部盛り込まれております。
K ようするにこれは何を言っているのかな?
M 「この町は福祉を先駆けた。立派だ。」
K なるほど。
M で、福祉のキーステーション的なものを作るにあたって、従来の『閉鎖系目的達成型』の施設ではなく『開放的目的創成型』の施設を目指したという話ですね。
K 了解。開くとか閉じるとかいう話ですね。
M その方法が「ウィービング」つまり「縫う」。いくつかの施設をゆるゆると縫い合わせた感じで作っています。「よじれた染色体」だそうですよ。
K 了解。このへんは伸さん節ですな。メタファアアアア。
M でも「鉄壁の如き縦割り行政に阻まれた」らしい。「ぼくなりに頑張ったけど、行政には負けた」と。
K 了解。複合型公共施設によくある話ですな。 しかしこのよじれた染色体、スゲーぞ。
M この「ふれあいアトリウム」ですが、鉄骨のごつごつした骨組みに白い手すり。東京サマーランドを思い出させます。
K ていうか小菅刑務所? よじれた染色体もパノプティコン式平面に見えなくもないです。だめじゃん、福祉施設が刑務所と似てたら。
M 中庭にいかにも行政にくっつけられた感じのゲートがあるな。
K これが「鉄壁の如き縦割り行政」だな。
M しかし福祉と高松伸って、どう考えても相性悪そうなんですけど。
| 飯田善彦+飯田善彦建築工房 『県立北総花の丘公園 花と緑の文化館』 |
K これは新しいですね。ウエハースみたいな屋根ですよ。
M 柱に花がまとわりついてるぞ。
K ワタシこれツボにはまりました。なりは地味だけど妙に独創的。フシギちゃんのにおいがしますよ。
M 要注目ですね。
| 連載 「歴史は現代建築に必要か」 第3回 藤岡洋保 |
M このコーナーもうやめようかなあ。
K なぜですか。めんどうくさくなりましたか。
M この連載じつはけっこう読んでる人多いんじゃないの?ここんとこわりとメディア露出度高い人が書いてるしさ。しかも近代だしさ。
K そういえば最初は「誰も読まないだろうから」ってことで要約したんでしたっけね。
M だって初回は山岸常人先生だったからねえ。
K そういうこと言うと叱られますよ。・・・まあ仕方がないけど。
M それより伊藤ていじ先生の要約でもしてみようかな。今まで読んだことなかったけど。
| 連載 「口説 日本建築史」4 伊藤ていじ |
K お、スーパースター重源が出てるじゃないですか。
M しかも日本建築史上に燦然と輝くばかけんちく、東大寺大仏殿の話です。
K 面白そうだな。やっぱこっちやりましょう。
M どうも話は重源が大仏殿の大修理という大イベントの準備をしているところのようです。カネ集め・人集め・資材集め・設計監理などのゼネラルマネージャーであるところの重源が、どうやって組織づくりに手腕をふるったかという場面のようですよ。
K お、今でいうところの愛知万博のようなものですね。重源は隈さんかなあ?いやもっとえらい人か。
M では要約。
1.高野山をベースキャンプに、政財界・宗教法人・一般市民・外国人など話のかみ合わない集団を束ねあげた。いろんな価値観の人間を巻き込んでこそイベントはポピュラーたりえるのだ!
2.奈良時代の大仏殿は欠陥建築でボロボロだった。昔の構造的欠陥を解決する必要があった。それができたら次世代スターなのだ!K なんか今と大して変わらないんですけど。伊藤先生ほんとにそんなこと書いてるんですか?
M 少しだけ現代語訳したけどな。で、次。
3.「宗教的善行として造営する」という大義名分を掲げつつ、舞台裏はもちろん黒々としていたぞ!以下はイベントの中心部隊だった「重源の弟子たち」に関する例。
・弟子の大半はダメ人間。リストラ組・窓際族・プー・ホームレス・ヒッキーなどを大勢引きこんだ
・信心深いまじめな弟子は修行に専念させた≒役に立たないから山にぶち込んどいた
・反政府ゲリラの死刑囚であった平家残党をかばって味方にしたK 「宗教的善行」か。愛知万博における「環境」ですね。しかし重源なかなかの策士だぞ。
M 重源のやったことは「どれほど政治に手を染めようとも心の底には仏がいた」とも、「仏を利用して地位と権力と名声をほしいままにした」とも、どちらにも読める行動ばかりです。真言宗徒としてさんざ苦行を積んだ過去がありますからね。楽してのし上がれるわけではないということですね。
K ようするに清濁併せ呑む超大物ですな。なかなか参考になるんじゃないですか公共事業プロデューサーのみなさん。続きが楽しみです。
M この連載おもしろいですね。今まで読まずに損したわ。丁寧にふりがな振ってあるし。しかし段落構造がよくわからんレイアウトだなあ。ちょっと見直していただけるとありがたいです編集部の方。