| 特集 『史上空前のデザイン輸出』6人の建築家へのインタヴュー |
M はい今回の目玉はなんといっても特集「史上空前のデザイン輸出」です。
K ワールドワイドに活躍する6人のけんちく家が、海外の仕事術についてセキララに語ってくれます。
M これはけんちく関係者だけでなくワールドワイドにお仕事をするビジネスマーンの方々も必読。
K はい全国のエグゼクティブのみなさん、「サラリーマン金太郎」を読んでる場合じゃありませんよ。
M エグゼクティブはそんなものは読みませんよきっと。あれは「プレジデント」と同じでダメなサラリーマンが現実逃避に読むモノです。
K そうでしたはい。ではエグゼクティブの好きな“表”をつかってまずは、それぞれの持ち場ややり方をわかりやすく比較してまとめてみましたよ。
M われわれも“表”はすきだぞエグゼクティブとはほど遠いが。
6人のけんちく家の‘オレ流’海外しごと術比較表
地域 モチベーション ひとことであらわすと 教訓 似ているひと 磯崎 新 カタールとか 王子とトモダチになったから 道楽のインターナショナル やりたい放題のけんちくをしたかったらアラブのお金持ちと組みましょう。(※) 仰木元監督 安藤忠雄 どこでも コンペに勝ったから 殴り込みインターナショナル 自分が現場に行けばすべてがおさまる、そういうもんらしいです。(※) 星野監督 伊東豊雄 ヨーロッパ 最近インターナショナルだから 市民合意のインターナショナル ヨーロッパの場合、誰もが建築マニアなので市民や市長の意見をよおく聞くことです。 若松監督 黒川紀章 亜細亜 思想をひろめるため 思想のインターナショナル 思想は国境を越えます。ほんとかな?(※) 野村元監督 高松 伸 中国 日本が狭すぎるから 宇宙のインターナショナル 日本では浮いてしまうキミ!土地が余っている中国なら少々の大きさ奇抜さは問題なし。めざせ万里の長城。(※) 新庄剛志 槇 文彦 アメリカ・ヨーロッパ 生まれつきインターナショナルだから 流通のインターナショナル 英語がペラペラのアナタにオススメ。個人輸入で素材は外国から調達しましょう。(※) いません (※)シロウトにはおすすめできないM こうしてみると、みなさん働き場所もいろいろ。
K アジア派と欧米派って感じかな。アバンギャルド系はアジアで、モダン系は欧米って、作風で大ざっぱにわかれてますね。
M 海外でお仕事をするモチベーションもいろいろですよ。磯崎さんなんて道楽を極めるために海外で仕事してるようです。「現代にマハラジャをよみがえらせる」だとかエットーレ・ソットサスほか「10人のデザイナーにインテリアを頼もう」とか。これがアラブのプリンスのプライベートヴィラのために注がれるという無茶苦茶さ。
K 現在、日本はしみったれてますからねー。そこへ行くと、アラブの王侯貴族はきっとバブルみたいなもんなんでしょうね。
M しかもエンドレスでな。だからやりたい放題だぞ。まあ後で詳しく書きますけど。わけわかんねーけど、多分邪道なんだけどすげぇ!
K その点安藤忠雄さんは王道。あのフランスの、あのパリのど真ん中に、よりによって美術館を、しかも「ポンピドゥーセンターに匹敵するパリの文化的コア」のおしごとをするのだそうです。
M 並みいる各国のゆうめいけんちく家を押しのけて忠雄さま当選。もうすごすぎです。
K さすがです。もっと大騒ぎしてもええんちゃう。
M また、伊東豊雄さんは、特に何かこう本人の強い意志があって行っているという雰囲気じゃないですね。
K ヨーロッパで注目されているわけですね。呼ばれたからやってみよか。という感じに見えます。あんまし肩に力入っていませんね。
M 注目されているという意味じゃ黒川紀章さんも、アジアで注目されてて呼ばれて行ってるみたいです。
K でも超ノリノリですね。「僕は最初から地球の全方位に関心をもっていたわけです。」とか言ってます。
M その発言は何か不穏な感じがしますね。
K 高松伸さんもすごいぞ!「衛星の視点」とか言いながら中国に万里の長城を作りかねない勢いです。これは不穏だ!
M 伸さん実のところ日本が作風とかスケールに全然合ってなかったことが判明しちゃいましたねー。
K なにしろ「デカイ・コワイ・派手」この作風って日本以外のアジアならどこでも合いそうじゃないですか。何でこれまで気付かなかったのかしら。
M 槇さんは生まれつきインターナショナルですからその点余裕。
K 素材の流通を国際化するなんて、一歩先を行ってますね。
M では次回からはひとつひとつ見ていきますよ。更新をお楽しみに。
□海外の仕事心得 磯崎新 (近々更新予定)
□大変なりに考えていること 安藤忠雄
□欧州における現代建築に対する期待感 伊東豊雄
□国際舞台における思想の大切さ 黒川紀章
□海外でできること 高松伸 (02/04/21更新)
□世界化している中で 槇文彦 (02/04/25更新)
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海外でできること 高松伸
K さいきん伸さんは中国でごっついプロジェクトをやっているようですよ。
M お、なんだかすげぇCGがたくさん載ってますね。濃いな〜。
K 空をつんざく槍とか直径1kmくらいありそうなおまんじゅう。
M おみせ出来ないのが残念です。気になる方はGA JAPAN本誌を見てね。
K さてお話の内容を見てみましょう
【引用】
天津博物館が着工し、この度、それに続いて隣接する「奉達広場」のコンペに当選しました。博物館とあわせると30haという広大な敷地ですが、ショッピングセンター、シネマコンプレックス、アミューズメント施設を地下に建設し、地上は三万人広場(ランドスケープ)を中心に構成するものです。K なんだか中国は桁がちがいますね。何だよ30haって。
M 全部地下に埋めるのかよ。しかも三万人広場?
【引用】
あの茫洋とした広さに接すると、どうしても求心的なモティーフが不可欠であるという感じにとらわれます。そのような極めて単純なアイデアを、中国のクライアントは今のところ大いに理解してくれています。ともあれ極めてプリミティブな空間原理こそが、現地においては根元的な空間言語かもしれないと考えています。K 求心的オッケー!プリミティブオッケー!目立ちすぎるくらいが丁度いい!伸さんはきっとアメリカに出ていった新庄のように生き生きしていると思われます。
M 日本だと土地も狭いし個性的なものを作ると町衆から怒られたりして大変ですものね。
K 新庄くんも同じくスター性があって人気もの。でもうるさいメディアやキビシイ監督に押さえつけられて空振りばかりしていましたね。
M 90年代のしみったれた日本では伸さんもちょっと空振りが目立つというか、窮屈そうでしたものね。
K しかもなんでこれまで日本でも一番叱られやすい京都にいたのかわけわかりませんね。
M 「高松さん、高さおさえて伸ばさない」とか煽られたりしてね。人気者は辛かったね。
K いや今でも伸さんは京都にいますけどね。新庄はもう日本人じゃないけど。
【引用】
(つづき)そのような巨視的な象徴性を、コンペの際に「衛星の視点」と説明しました。もちろん万里の長城には及びませんが、いわば宇宙的な視点で認知可能なアイデアを提案したわけです。M 「衛星の視点」か。「ものすごい遠くからでも見えるョ」ってことかよブルブル。
K しかも「何光年経っても残るよ」くらい含んでるに違いないです。ああとにかく日本ではできない思い切ったプレイをすることは間違いありませんドキドキ。伸さんといい新庄さんといいストライクゾーンの広い場所に行って良かったですね。
M もう万里の長城でもなんでも作ってくれ。
K 歴史に残るのは建築家のロマン。思う存分全うしてください。
M でも仕事の面ではとっても中国が合っているみたいですが、生活面ではどうかな。新庄くんは3食ハンバーガーでも大丈夫ですが、伸さんはワインが飲めないと辛そうですよ。
K 「中国は文化的には受け入れられない」みたいなことも言ってるものね。
M なにしろカフェやら喫茶店の類の存在しない国だから中国はそういうものが手に入りません。このあたりはどうなのかな。つくづく余計なお世話ですが。
K まあ中国に根を生やすわけでもないでしょ。伸さんは東欧(旧ソ連あたり)でもお仕事してる模様。
M その影響で、今、伸さんの中では「ロシア構成主義」が熱いらしい。
K 何かこう、自作に通じるものを感じてるみたいです。
【引用】
その頃の刺激的なプロジェクトのイメージが、ぼく自身の初期の仕事にリンクするのではないかという予感があるからです。ロシア構成主義の時代の建築は、全て都市建築であると言って良いと思います。建築が、革命というひとつの結語に収斂していくわけですが、それは即ち建築の都市のシンボリズムの問題であり、従って極論すれば建築の内部など不要なわけです。それがもともと内部を思考する回路とは無縁な自分の方法とリンクしていくようで、非常に興味があります。M シンボリズムこそ全て!内部は関係ない!言い切りましたね。
K それでこそサムライ!それでこそ伸さん!
M 「あばんぎゃるど」を極めてください!
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世界化している中で 槇文彦
K 槇センセイがこのお題で何を語るのやら。
M いや、全く想像がつきません。
K この方は、寡黙なようで、実は時代の流れとかにすっげぇ鋭い感覚を持っているのです。
M しかもそれは、「鼻が利く」という類の野生を感じさせます。
K 槇さんのそういう部分が見えると、我々すごい不意打ちを食らった気分になります。雰囲気的には、時代とか超越してそうに見えるからね。
M さて今回はどんな話になるのでしょう。
【引用】
海外での仕事というと、若い頃にワシントン大学の「スタインバーグ・ホール」(基本設計・1961年)がその最初でしたが、事実上最初の作品は、サンフランシスコの「YBG芸術センター」(93年)です。大学院を出てアメリカで教鞭も執りましたし、ある程度アメリカの文化性もわかっていたつもりでした。しかし実際に仕事してみると、建築をつくるプロセスやそれをとりまく文化はやはり違うんです。「YBG」を進めるなかで、アメリカではどうやって建物ができるかということを遅ればせながら学んだようなものでした。M はい生まれながらにしてインターナショナルな槇センセイです。デビュー早!
K 紳士なだけあって、ごく謙虚に語っていらっしゃいますが、きっと他の人々よりも国境という敷居は低いに違いないね。
M 1mmくらいだねきっと。さてこの後、実際の設計の進め方について、アメリカでの方法論が語られています。わかりやすくてまとまってて、つっこみどころがありません。
K はい先へ急ぎましょう。気になる人は本誌を読もう。
M 次の「■建築のグローバル化」という段落がおもしろいぞ。
【引用】
最近では、その国以外のテクノロジーを用いることも多くなっています。例えば、デュッセルドルフのプロジェクトでは、施工者はドイツの会社ですが、カーテンウォールのファブはオーストリアです。会社は小さいけれど、製品精度の高いものを生産してくれて、デュッセルドルフでも評判になっています。ヨーロッパでは、コストの問題が完全になくなったわけではありませんが、関税もなく、小さくてもいいファブがあれば、ヨーロッパのどこからでも一番いいところを選びうる状況なのです。K 出ました、意外性の槇さん。鋭い嗅覚で早くもEUの動きを察知しておられます。
M ノーブルな槇さんが突如ベンチャー社長(イメージ)のような語り口。
【引用】
また、技術のレベル、独自性の他に、大きな要素となるのが輸送コストと為替レートです。今、輸送コストは大変に下がっているのです。海外の材料はどんどん手軽に使えるようになってきている。また、現在の円安の為替レートでは日本で製作したものを送っても、2,3年前と比べると二割近く安くできる計算です。K うわぁぁあ槇さんの口から「輸送コスト」「為替レート」というコトバが!
M 「槇センセイと経済」という組み合わせの意外性がたまんねぇよ! しかも「2割安い」とか言ってます。小銭持って買い物したことなさそう(イメージ)なのに。
【引用】
日本では建設産業ブームの中で大企業はカルテルみたいになって、価格も高かったし、勉強しないところも随分ありました。そういうものは、この10年くらいで崩壊しているわけです。ぼくも「東京キリストの教会」(95年)ではフランス製のガラスを使いましたが、コストパフォーマンス、つまり値段と性能から言うと、必ずしも自国内の製品、技術が一番リーズナブルとはいえなくなった状況なのです。M 「コストパフォーマンス」「リーズナブル」もうどこまでも経済ネタで進みます。
K しかし、話がすごく明快ですよね。ヤヤコシイ方向に転がらないよ。例えば‘政治’とか‘思想’とか。
M いつも思うんですけどもね、みんな建築を政治の問題として捉えすぎですよ。もっと経済のこととして考えようぜ槇さんみたいにさ。国際化を経済の問題として捉えているのは槇さんだけじゃん。結局。
K コストパフォーマンスを考えるのは建築設計では結構あたりまえの姿勢なんだけども、槇さんくらいの大家が言わないとインパクトが無いかも。
M というか雑誌が違うのですね。こういう「いい素材を安く手に入れて2割安く作ろう」みたいな話は、普段は『日経アーキテクチュア』とか『室内』には載るけど、何しろ『GA JAPAN』ですから。
K これだけのクオリティのある建物を造る人だからこそ、けんちくの中での経済の問題が‘空間の質’とか‘新しい造形’みたいな『GA JAPAN』ネタと関係あるってことがわかるよな。
M 槇さんカッコイイよホントに。みんな槇さんの言葉は残さず拾えよ。
K といいつつ我々さっき省略しましたけどね。
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