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過去日記だけど書きかけが放置してあってもったいないからアップするよ。 8日午前。Kたろうという伏字になってないアラサー男子が着物をゼロから揃えるショッピングをするので、仲間3人でぞろぞろ野次馬をしに行く。男着物がたいそう充実している古着屋さんで、今日は下見程度のつもりが、私が遅刻して着いたらすでにお店の凄腕姐さんたちの見立てによりものすごい勢いでコーディネイトが決まりつつあり、あとはお金を払うだけ状態になっていた。「あらこのお客さんおなかが出てへんわ」という姐さんのつぶやきに気をよくしたらしいKたろうにやにやしながら即決。なるほどこれはある年齢以上の男子にはきわめて有効な殺し文句である。たいへんいい色の紬アンサンブルに絣の袴までつけて、小物も全部含め73500円。グッドバーゲン。 8日午後。東国から侍が5人も来た。つまりSferaで岡田栄造さんが不定期にやってる「デザインの部屋」のゲストにチームラウンドアバウトの兄さんたちが来たので聞きに行った。ふざけた感想を述べると侍に斬られるらしいのでどきどきしながら書くが、これはデザインの部屋の感想であってroundaboutの感想ではないからまあよかろう。 3時間という長い時間枠を心配しましたが、杞憂でした。岡田さんの聞き方は、彼らの設定する問題の中身には踏み込まず、問題設定までのいきさつを聞くというものでした。簡単にいえば「君たちはなぜroundaboutをしているの?」「君たちはなぜそういうやり方をしているの?」という質問です。 彼らは自分たちの活動を「部活」と呼びます。議論の場を作るという部活です。3時間のトークのなかで議論という言葉が300回ぐらい出てきました。一口に部活といっても、地域OB一体となって学生王者を目指す部活から、めいめい部室の壁に向かって黙って練習をするギター部までさまざまなスタイルがありますが、彼らの部活は私の理解したところによると、たとえば新しい格闘技のリングの形からユニフォームから一通りルールを決めて、興行のための組織とメディアを整えて、種目として成立させて、ぞんぶんに戦うような活動です。これによってハウストーナメントでは獲得できなかった一般性と、物理的距離を越えた伝播が期待できるというわけです。現に格闘技など見もしない私のような生き物ですらこうして全国巡回トークショーを聞きにやってきたりするわけである。 印象的だったのは以下のような点。 ・部活は日々の稽古の延長。彼らの議論の枠組みは自分たちの仕事や生活の実感から生じたものである。 ・部活だけど本気だ。やるからには手順を隙のないよう整えてアウトプットしないと遠くに届かない。 ・いかなるときでも斬ったはったができるように鍛錬している。これは東工大(の一部)の武家教育の賜物である。 使っている言葉が個人的な実感からスタートしているらしいというあたりが見えてきて、ようやくみ江さんにもわかってきましたよ。なんでそんなに議論が好きなのか不思議でしたが、個人としての言葉をどうやって遠くに飛ばすか、という問題意識があるのですね。ここまで掘り下げたら私にも共有できる。もはや下部マントルあたりまで掘ってると思うが。あと格闘技をやっている理由はみな少しずつちがうようでした。体を鍛えて戦に役立てるためという侍もいれば、格闘技で社会をよくしたいという侍もいます。 そして後半はなんと藤村君が岡田さんに質問を始めました。徹子の部屋に出るタモリか。いやタモリでもしないんじゃないか。「岡田さんはなぜdezain.netをしているのですか?」「岡田さんはなぜそういうやり方をしているのですか?」そうして出てきた岡田さんの回答は見事に対照的で、武家vs.公家の様相を呈しており、部活の姿勢がかえって浮き彫りになってこれが非常によかったです。 |